歴史の世界

中東_メソポタミア文明②

「 中東_メソポタミア文明②」カテゴリーの主要な参考図書

「 中東_メソポタミア文明②」シリーズ終了。 「メソポタミア文明①」カテゴリーはシュメール人最後の王朝ウル第三王朝の滅亡まで書いた。このカテゴリーはその続きとなる。 メソポタミア文明の終わりの時期について。以下は『古代メソポタミア全史』(中公新…

アケメネス朝ペルシア帝国 その12 言語・文字/世界帝国

前回まででアケメネス朝の通史は終わったので、ここではこれまで書いていなかった事項を書いておく。 言語・文字 世界帝国 言語・文字 広大な地域を支配したペルシア帝国には、土着の言語と共通の言語があった。 共通の言語はアラム語だ。 オリエント世界を…

アケメネス朝ペルシア帝国 その11 ダレイオス3世とペルシア帝国滅亡

前回からの続き。 ダレイオス3世はアケメネス朝ペルシア帝国の最後の王で、アレクサンドロス大王によって滅ぼされる。 ダレイオス3世と前回のアルタクセルクセス3世の間に一人の王がいる。その名はアルタクセルクセス4世だが、ギリシア文献だと「アルセ…

アケメネス朝ペルシア帝国 その10 アルタクセルクセス3世

前回からの続き。 即位と国内平定 エジプト遠征 死去 即位と国内平定 今回の代替わりでも後継者戦争が起こった。後継者争いが毎回のように起こるのは、アケメネス朝に後継者を決める取り決めが無かったからだという。 長命のアルタクセルクセス2世は多くの…

アケメネス朝ペルシア帝国 その9 アルタクセルクセス2世

前回からの続き。 骨肉の後継者戦争 コリントス戦争と大王の和約 エジプト奪還ならず 大王の求心力低下と後継者戦争と総督の反乱 骨肉の後継者戦争 ダレイオス2世が亡くなるとアルタクセルクセス2世が大王に即位する。骨肉の争いはアルタクセルクセスが即…

アケメネス朝ペルシア帝国 その8 ダレイオス2世

前回からの続き。 骨肉の動乱とダレイオス2世の即位 バビロニアの繁栄 サトラップの土着化 ギリシア勢力との関係の変化 ダレイオスの死とエジプトの反乱 骨肉の動乱とダレイオス2世の即位 前424年、アルタクセルクセス1世が亡くなり、王太子だったクセルク…

アケメネス朝ペルシア帝国 その7 アルタクセルクセス1世

前回からの続き。 アルタクセルクセス1世 エジプトの反乱 ギリシア勢力との戦いと「カリアスの和約」 アルタクセルクセス1世の治世の評価 アルタクセルクセス1世 アルタクセルクセスは父クセルクセス1世が暗殺されたことにより、前465年、王位に就いた(…

アケメネス朝ペルシア帝国 その6 クセルクセス1世

前回からの続き。 クセルクセス1世 バビロンの反乱と破壊 ギリシア遠征 テルモピュライの戦い/サラミスの海戦 プラタイアの戦い/ミュカレの戦い ギリシアの反転攻勢 暗殺 クセルクセス1世 ダレイオス1世の後を継ぐのはクセルクセス1世。ダレイオスと正…

アケメネス朝ペルシア帝国 その5 ダレイオス1世(帝都ペルセポリスその他/遠征)

前回からの続き。 ペルセポリスの建設とその他の首都 遠征 北方遊牧民への遠征(サカ人=スキタイ人) インド遠征 ギリシア遠征 ダレイオス治世の版図 ペルセポリスの建設とその他の首都 ヘロドトスは、スーシャー(ギリシア語名スーサ)が「ペルシア帝国」…

アケメネス朝ペルシア帝国 その4 ダレイオス1世(出自とキーワード)

前回からの続き。 ダレイオス1世の出自 宮廷内の権力 婚姻関係 ダレイオスとクーデタを起こした貴族たち ダレイオス1世のキーワード サトラップ 王の道 王の目、王の耳 ダレイオス1世の出自 ダレイオス1世が簒奪者だと考えられていることは前回、前々回…

アケメネス朝ペルシア帝国 その3 「チシュピシュ朝」

前回からの続き。 今回の参考文献は青木健『ペルシア帝国』(講談社現代新書/2020) ペルシア帝国 (講談社現代新書)作者:青木 健講談社Amazon 「チシュピシュ朝」 ペルシア「帝国」の建国者キュロス2世(大王) カンビュセス2世/エジプト征服 「チシュピ…

アケメネス朝ペルシア帝国 その2 「アケメネス」という名称

前回からの続き。 「アケメネス」という呼び方のいくつか 「アケメネス」という名称の由来 「アケメネス」という呼び方のいくつか 「アケメネス」という呼び方は(古代)ギリシア語に由来する呼び方。専門家によっては「アカイメネス」と呼ぶこともある。(…

アケメネス朝ペルシア帝国 その1 「ペルシア」とは何か?

オリエント世界を統一したアッシリア帝国の滅亡後は4つの王国が分立していた。 これから話すペルシア帝国は、上記のうちのメディア王国の従属国だったが、これを滅ぼし、最終的にオリエント世界全土を併合した。 このブログでは、ペルシア人が歴史に登場し…

遊牧、騎馬民族、スキタイのまとめ(起源について)

今回は、前回まで書いてきた遊牧、騎馬民族、スキタイのまとめを書いていく。 遊牧の起源 インド=ヨーロッパ語族の起源 アーリア人について 騎馬民族の起源 西アジアに現れた騎馬民族 遊牧の起源 遊牧の起源として、前5500年に西アジアの「肥沃な三日月地帯…

最初期の騎馬民族 その6(絶頂と没落)

前回からの続き。 スキタイ王アテアス:絶頂期 アテアスの死 没落期 軍事面についてのスキタイとサルマタイの優劣 スキタイの最期 スキタイ王アテアス:絶頂期 ヘロドトス『歴史』で最後に言及したスキタイ王はオクタマサデスだった。前回書いたように『歴史…

最初期の騎馬民族 その5 (スキタイ人、黒海北岸支配)

前回からの続き。 黒海北岸(ウクライナ)支配の始まり:前6世紀 スキタイを取り巻く諸民族 前5世紀前半(ギリシア系植民市との関係) ヘロドトスが生きた時代 黒海北岸(ウクライナ)支配の始まり:前6世紀 前6世紀、スキタイ人は本拠地を北カフカスか…

最初期の騎馬民族 その4 (スキタイ人、オリエント世界に到来)

前回からの続き。 狭義(?)のスキタイ人 先スキタイ時代 スキタイ人の到来 狭義(?)のスキタイ人 前々回に引用したものを再掲。 前7世紀から前3世紀にかけて黒海北岸の草原地帯を中心として成立した騎馬遊牧民族スキタイの文化。史上最古の騎馬遊牧民の文化の…

最初期の騎馬民族 その3 (権力の階層化)

前回からの続き。 中国文明との交流/騎馬民族の形成 モンゴル高原:権力の階層の形成 東から西へ 中国文明との交流/騎馬民族の形成 前9世紀半ばごろは,世界的な気候変動期にあたり,乾燥期から湿潤期への移行期間に相当する。半砂漠だったところが草原に…

最初期の騎馬民族 その2 (スキタイ人の起源≒騎馬民族の起源)

前回からの続き。 今回はスキタイ人の話。 「スキタイ」という呼称について キンメリア人よりも多く語られるスキタイ人 広義(?)のスキタイ スキタイ文化(考古学の見地から) 「スキタイ」という呼称について 「スキタイ」という呼称はギリシア語。ペルシア…

最初期の騎馬民族 その1(騎馬民族について/キンメリア人)

今回は騎馬民族について。 騎馬民族について 騎馬民族の起源:キンメリア人とスキタイ人 キンメリア人 騎馬民族について 以前にも書いたが、騎馬民族の「騎馬」は乗馬という意味の他に、騎乗で戦闘する意味も含む。 騎馬戦術を用いて農耕地帯を略奪するか、…

アーリア人について その2

前回からの続き。 前回は「アーリア人」という用語が人種差別に結び付けられた話を書いたが、今回は現在の学術的用語としての「アーリア人」について書く。 学術的用語としての「アーリア人」 学術的用語としての「アーリア人」 「アーリア人」という言葉を…

アーリア人について その1(インド=ヨーロッパ語族との関係/人種差別とナチス・ドイツ)

前回の話と関連する「アーリア人」の話。 今回はインド=ヨーロッパ語族の研究の歴史と「アーリア人」という用語の登場について書く。次回に現在の学術的用語としての「アーリア人」について書く。 インド=ヨーロッパ語族の研究と「アーリア人」という用語 …

インド=ヨーロッパ語族の起源/クルガン仮説

前回まで遊牧の起源について書いたが、「インド=ヨーロッパ語族」を話す人々はこれと密接な関係がある。 今回はインド=ヨーロッパ語族の起源について。 インド=ヨーロッパ語族について 原郷/クルガン仮説 拡散 拡散の要因 インド=ヨーロッパ語族につい…

遊牧の起源 その2

前回からの続き。 ユーラシア・ステップにおける遊牧の起源 遊牧民と言えば「草原の民」をイメージする。彼らの主な生活空間はユーラシア・ステップと言われる広範な草原地帯だ。 出典:ユーラシア・ステップ - Wikipedia ここでは、以下の中川洋一郎氏の説…

遊牧の起源 その1

遊牧の起源のお勉強。 遊牧の起源についての2つの説 牧畜(家畜化)の起源 遊牧の起源 遊牧の起源についての2つの説 遊牧の起源についてネットで調べると、大きく分けて2つの説が出てくる。 一つは「狩猟→遊牧→牧畜」という順番で起こったという説。この…

ユダヤ教成立の歴史⑨ ヤハウェ信仰の危機と一神教の誕生

前回からの続き。 ユダ王国滅亡とヤハウェ信仰消滅の危機 一神教の誕生 ユダ王国滅亡とヤハウェ信仰消滅の危機 ユダ王国が滅亡し、イスラエル民族は自分たちの国を失った。これは民族と彼らが信仰した神の消滅の危機でもあった。 古代オリエント世界において…

ユダヤ教成立の歴史⑧ 旧約聖書の歴史観で見る王国時代 その4 ヨシヤ王の宗教改革/ユダ王国の滅亡

前回からの続き。 北イスラエル王国はアッシリア帝国に滅ぼされ、ユダ王国は属国となった。 しかし、オリエント世界統一を果たしたのアッシリア王アッシュルバニパルが亡くなるとアッシリアは急速に滅亡の途をたどることになる。 そのような期間の中でユダ王…

ユダヤ教成立の歴史⑦ 旧約聖書の歴史観で見る王国時代 その3 (北)イスラエル王国の滅亡とユダ王国の属国化との宗教の変化

前回からの続き。 ヤハウェからの警告 (北)イスラエル王国の滅亡とユダ王国の属国化 普遍的な神観 ヤハウェからの警告 (北)イスラエル王国の将軍だったイエフは、ヤハウェの命令により、クーデターを起こし王位に就いた。 イエフの王朝の4代目ヤロブアム2世…

ユダヤ教成立の歴史⑥ 旧約聖書の歴史観で見る王国時代 その2 預言者と王朝断絶の関係

前回からの続き。 以下の話は聖書外の文字史料で確認されていないことに注意。 エリヤ、王朝断絶を予言 バアル・ゼブブ(ベゼルブブの起源) 預言者エリシャとイエフのクーデタ エリヤ、王朝断絶を予言 エリヤとアハブ関連の話をもう一つ。 アハブがイズレエ…

ユダヤ教成立の歴史⑤ 旧約聖書の歴史観で見る王国時代 その1 ヤハウェ vs バアル

古代イスラエルの王国の歴史については、以下の記事より連投している。 古代イスラエルの王国① 初期の古代イスラエルの歴史とダビデの史実性 今回は、「旧約聖書の歴史観は当時の出来事をどのように観ていたのか」を書いていく。 ヤハウェの敵(ライバル?)…