2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧
馬場匡浩氏によれば*1、エジプト先王朝時代は上エジプトのバダリ文化とナカダ文化、そして下エジプトはマアディ・ブト文化(マーディ・ブト文化)の3つの文化が含まれる。 今回は下エジプトのマアディ・ブト文化と先王朝時代にエジプトと交流・交易があった…
前回、都市化について書いたが、今回は個別の都市あるいは「都市」一歩手前くらいの大集落について書いていこう。 ナカダ ヒエラコンポリス アビドス(アビュドス) その他の集落 エレファンティネ ヌビア北部の大集落(サヤラ、クストゥル(クストゥール) …
前回の最期に書いたナルメル王のパレットについては別の機会にやる。 今回は都市化について。 J.ウィルソン氏(1958)エジプト文明を「都市なき文明」であった、と主張した。メソポタミアのような都市が発達しないまま、上下エジプトは統一されたのがエジプ…
今回は、王の出現とそれに付随して起こったことについて書いてみる。 王の出現 官僚組織 文字 美術/図像表現 王の出現 近年、各地の発掘調査にともなって、ナカダⅢ期ニ年代づけられる複数の王名の存在が明らかになってきた。こうした王名は、「セレク」とよ…
ナカダ文化Ⅲ期は、先王朝時代の最後期、王朝時代の直前にあたる(もしかしたら王朝時代の初期まで含むかもしれない)。 ただし、Ⅲ期のあいだにすでに「王」が誕生しており、この時期は「原王朝」「第0期王朝」と呼ばれることもある*1。 Ⅱ期後半からエリート…
前回=前編からの続き。 ナカダ文化の拡張 政治的地域統合 ビールと支配 社会の複雑化とは ナカダ文化の拡張 ナカダ文化の発祥の地はナカダからアビュドスあたりだが、Ⅰ期のうちに北は上エジプト中部のマトマールから南はアスワン(ナイル川の第一急湍)まで…
前回、Ⅰ期~Ⅱ期前半のあいだで、各集落で内部の発展と階層の分化が起こったことをやった。 今回はⅡ期後半。この時期は各集落間の格差が生じ、大型集落が中小の規模の集落をコントロールするまでになった。 集落間の格差 地域統合の始まり 職業集団の出現と大…
ナカダ文化は先王朝時代の中核。先王朝時代の本体と言ったほうがいいかもしれない。先王朝時代は他にはバダリ文化とマアディ・ブト文化を含むがこれらの文化はナカダ文化の付属物に過ぎない。先王朝時代については記事「エジプト文明:先王朝時代について 」…