進化論と人類の進化
「進化論と人類の進化」シリーズ終了。ホモ・サピエンスやネアンデルタール人などは 先史/ホモ・サピエンスのカテゴリーを参照のこと。 世界中の学者が様々な説を展開していて決着が着いていないものだらけだ。このカテゴリーで採用した説が主流なのかどう…
解剖学的現生人類と現代的行動 現代的行動と進化 解剖学的現生人類と現代的行動 どうやら「身体は完全な現生人類(ホモ・サピエンス)だが現代的行動を身に着けていない現生人類のこと」という意味のようだ*1。この用語ができた時点では現代的行動を身に着け…
授業の中で 私はむかし、人類は「猿人→原人→旧人→新人」のように進化した、と教えられた。最近の中高生が実際にどのように教えられているかは分からないが、youtube に上げられている幾つかの授業を見ると、あまり変わっていないようだ。 実際の進化はこんな…
ネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス Neanderthal、Homo neanderthalensis)は以前はホモ・サピエンスの直系の祖先と言われていたが、近年の研究により、共通祖先を持つ別系統の種であるとされている(前回の記事参照)。 歴史教科書では「旧…
ホモ・ハイデルベルゲンシスまたはハイデルベルク人という名前はそれほど有名ではないが、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人の共通祖先として重要な種だ。 下はホモ属の系統図。 Description English: Chris Stringers' hypothesis of the family tree o…
前々回にも書いたことだが、ホモ・エレクトスは、ホモ属の代表的な種の一つだ。生息年代は100万年を超え、生息地域もユーラシア大陸で広範囲に確認されている。 生息年代 特徴 発見・公表 ジャワ原人 その他 ドマニシ人について 出アフリカの問題 エルガステ…
ホモ・エレクトスの最初の化石の発見は進化論の議論の盛り上がりの中で起こった。この化石の成果の発表が批判を浴びたことは当然の流れだったろう。「人類の進化」研究、つまり古人類学はこのように産まれた。 ホモ・エレクトスの歴史を知るついでに古人類学…
ホモ・エレクトスは、ホモ属の代表的な種の一つだ。生息年代は100万年を超え、生息地域もユーラシア大陸で広範囲に確認されている。 いっぽう、ホモ・エルガステル(またはホモ・エルガスター Homo ergaster)は独立した一種と認めない学者・勢力がかなりい…
初期ホモ属は一般的にホモ・ハビリスとホモ・ルドルフェンシスのことを指す。この2種をアウストラロピテクス属だと主張する学者も多く(ロビン・ダンバー氏もその一人)、ホモ属に分類する学者も暫定的に分類している(れっきとしたホモ属だとする学者もい…
『人類進化の謎を解き明かす』の著者ロビン・ダンバー氏はホモ属の最初はホモ・エルガステルであり、それより前は猿人(アウストラロピテクス属)だと断言する。そのような学者は少なくないようだ(ホモ・エルガステルをホモ・エレクトスと同種と考える学者…
前回からの続き。 人類進化の謎を解き明かす作者:ロビン・ダンバー発売日: 2016/06/20メディア: 単行本 今回も上の本を頼って、ネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)と現生人類(ホモ・サピエンス)に取り掛からろう。 ネアンデルタール人と…
前回からの続き。 人類進化の謎を解き明かす作者: ロビン・ダンバー,鍛原多惠子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2016/06/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る さて、この記事では いよいよ、脳とライフスタイルの進化を辿っていく…
前回からの続き。 社会的グルーミング(社会的毛づくろい、ソーシャルグルーミング) 不経済組織仮説 5つのキーワードでホモ属の進化を見ていく 人類進化の謎を解き明かす作者:ロビン・ダンバー発売日: 2016/06/20メディア: 単行本 この本は時間収支モデル…
前回からの続き。 今回もダンバー数について。 人類進化の謎を解き明かす作者: ロビン・ダンバー,鍛原多惠子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2016/06/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 共同体(氏族)と縄張り また狩猟採集民に…
前回からの続き。 人類進化の謎を解き明かす作者: ロビン・ダンバー,鍛原多惠子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2016/06/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 今回はダンバー数を扱う。ダンバー数は社会脳仮説を元にダンバー氏が開…
前回に引き続き、ロビン・ダンバー氏の著書の話をする。 時間収支モデルと社会脳仮説については理解が十分とはとても言えないのだが、頑張って書いてみよう。 人類進化の謎を解き明かす作者: ロビン・ダンバー,鍛原多惠子出版社/メーカー: インターシフト発…
脳の大きさと共同体の規模に相関があるという仮説がある。この仮説は「社会脳仮説」というもので、ロビン・ダンバー氏によって主張されている。 人類進化の謎を解き明かす作者: ロビン・ダンバー,鍛原多惠子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2016/06/…
火の使用の跡については100万年前よりも遡ることができるが、習慣的な火の使用は40万年前からだ、というのが通説のようだ。 火の使用 火の使用の重要性 火の使用 火の使用の発明、または前回やった石器作製技術の発明・発達は、各地・各時代で散発的に起こっ…
(前回からの続き) 今回はホモ属と石器について書こうと思ったが、石器時代のほぼ全てがホモ属の時代だということを書き始めてしばらく経ってから気づいた。ここではとりあえず、打製石器の発展の話を書くことにした。 ホモ属と石器について 打製石器の区分…
どの時点でかは分からないが、ホモ属は生存戦略として狩猟採集を選んだ(または、そうせざるをえなかった)。 狩猟採集民になった理由 初期の狩猟とはどのようなものか 狩猟採集民になった理由 氷河期は、300万年前から200万年前の継続的な地球寒冷化に端を…
この記事ではホモ属の特徴について書くが、ダニエル・E・リーバーマン著『人体 600万年史 上』*1の第4章「最初の狩猟民族」に頼って書いていく。 人体600万年史(上):科学が明かす進化・健康・疾病作者: ダニエル・E・リーバーマン,塩原通緒出版社/メーカー…
「人類の進化」シリーズも いよいよ、われわれ現生人類が属するホモ属に突入する。 ホモ属の Homo とはラテン語で「人間」を表す。ちなみに australopithecusは「南の猿」という意味*1。ホモ属の個体はアウストラロピテクス属よりもぐっと現代人に近い外見と…
(注:アウストラロピテクス(Australopithecus)を「A.」、パラントロプス (Paranthropus) を「P.」と略す場合がある。) アウストラロピテクス属は2つに分けられる。前回の「華奢型」グループとは別に「頑丈型」グループがある。 頑丈型アウストラロピテ…
(注:アウストラロピテクス(Australopithecus)を「A.」と略す場合がある。) 人類はアルディピテクス属からアウストラロピテクス属が誕生し、アウストラロピテクス属からホモ属が誕生すると考えられている。ただし、アウストラロピテクス属は多くの種を持…
アウストラロピテクスはネアンデルタール人と並んで最も有名な化石人類だ。 正式にはアウストラロピテクスという名称は属名でアウストラロピテクス・アファレンシスやアウストラロピテクス・アナメンシスなど複数の種がアウストラロピテクス属に属する。 し…
初期の人類と言えば、大半の人はアウストラロピテクスを思い浮かべると思うが、今回はアウストラロピテクスより前の4種の人類について書く。 この4種の人類はアウストラロピテクスと比べても、より原始的でサルの特徴をより多く残している。 アウストラロ…
この記事で言うところの「人類」は我々ホモ・サピエンスではなくサルと分かれたばかりの我々の祖先のことを指す。 厳密に言うと(ここで言う)「人類」の誕生とは、ヒト族(Hominini)からヒト亜族(Hominina)への進化のことだ。 出典:サル目<wikipedia(…
この記事では、あらためて霊長類と類人猿と人類の関係について書く。 霊長類 類人猿 霊長類(霊長目=サル目)以下の分類について 分岐の年代 原郷(原産地)と拡散 人類と類人猿の共通祖先はアフリカ起源か? 霊長類 霊長目(れいちょうもく、Primates)は…
ゴリラ、チンパンジー、テナガザルなどの類人猿と人間との最大の違いは歩き方です。我々人類は直立二足歩行ですが、彼らは四足歩行です。チンパンジーは腕が長く、地面に前の拳を付くように半直立で歩行するナックルウォークを行います。 出典:篠田謙一 監…
「ヒト」とカタカナで表記する意味 生物に命名するときはラテン語を使用して名付けることが国際規約で定められている。そしてこのラテン語名に対応する和名(標準和名)が定められている。ただし、和名を名付けるときの規約は無い。(学名<wikipedia、学名…