2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧
西アジアでは、後期銅石器時代(約6000~5100年前)に銅製錬の技術が発展していき、砒素銅やエレクトラム(金と銀の合金)などが鋳造されてくる。後期銅石器時代の工房では、メソポタミアの近場で算出される銅鉱石から高品質の銅を得るために、別の鉱物を意…
記事「メソポタミア文明:初期王朝時代⑦ 第ⅢB期(その3)初期王朝時代末の画期」からの続き。 初期王朝時代はアッカド王サルゴンがウンマ王(ウルク王)ルガルザゲシを倒してシュメールを統一する時に終わる。ルガルザゲシが活躍した数十年間は目まぐるし…
政治と宗教・思想・哲学は密接に関係しているのだが、宗教・思想・哲学は抽象的なものなので理解するのが難しい。理解するためには、まずその主張の前提となる知識を理解しておかなければならない。 シュメールの宗教や思想を知るためには以下のものだけでは…
この記事では、前田徹著『メソポタミアの王・神・世界観』*1の政治史の時代区分に頼って書いていく。ただし、この本は、今まで頼ってきた小林登志子著『シュメル』*2や前川和也編著『図説メソポタミア文明』*3や『世界の歴史1 人類の起原と古代オリエント』…
前回の記事「メソポタミア文明:初期王朝時代⑥ 第ⅢB期(その2)ラガシュの歴史 前編」の続き。 ラガシュは前2500年頃からウル・ナンシェ王朝が治めていたが六代目のエンアンナトゥム2世で世襲が途切れて、七代目にあたるエンエンタルジは血縁でない人物の…
第ⅢB期の都市国家ラガシュの歴史を書く。この時代の文字史料が他の都市国家に比べて突出して多く、他の都市国家の情報が少ないからだ。 都市国家ラガシュ 初代:ウル・ナンシェ 三代目:エアンナトゥム 四代目/五代目:エンアンナトゥム1世/エンメテナ …
「領邦都市国家」という用語は前田徹著『初期メソポタミア史の研究』*1に載っているもので、おそらく独自のものだろう。 点在する都市国家群から勢力を伸張させ諸勢力が相争う時代を経て、第ⅢB期には南メソポタミアは8つの都市に分割される時代となる。 「…
王名表については、記事「メソポタミア文明:初期王朝時代② 第Ⅰ期・Ⅱ期」の節「シュメールの「王名表」から」で紹介したが、それからの続き。 キシュ第1王朝 ウルク第1王朝 エンメルカルとルガルバンダと都市アラッタ ギルガメシュ 出典:Sumerian King Li…
記事「メソポタミア文明:初期王朝時代② 第Ⅰ期・Ⅱ期」の第2節「政治史的動向」に第Ⅱ期は「点在していた都市国家や中小村落が統合されて一つの領域を形成していく過渡期の時代」と書いたが、第ⅢA期もその過渡期は続いていた。 この記事では南メソポタミアの…
前回、時代区分のところで書いたが、第Ⅰ期・Ⅱ期などの時代区分は考古学の研究成果によるもの(編年)で、政治史としてこの時代区分を使用するのは、便宜的に使用しているだけだ。言い換えれば、政治史としての区分でなく、考古学の区分に政治史を当てはめて…
これから数個の記事に亘って初期王朝時代のことを書いていく。 初期王朝時代を簡単に言ってしまえば、「(都市)国家分立時代」となる。同様の時代は古代ギリシアや中国の春秋戦国時代などがある。 時代区分 範囲(舞台) 民族および言語 Map showing the ex…