歴史の世界

書評・読書ノート

【読書ノート】江崎道朗 『なぜこれを知らないと日本の未来が見抜けないのか 政治と経済をつなげて読み解くDIMEの力』

なぜこれを知らないと日本の未来が見抜けないのか 政治と経済をつなげて読み解くDIMEの力作者:江崎 道朗KADOKAWAAmazon 「DIME」(後述)については、数年前より著者が日本に普及しようと努めている言葉だ。本書は、「DIME」という言葉については割りと簡単に…

【読書ノート】上念司 『経済で読み解く地政学』

経済で読み解く地政学 (扶桑社BOOKS)作者:上念 司扶桑社Amazon 後述の出版社による紹介と目次を見れば分かる通り、「地政学」について詳しく書いてある本ではなく、国際情勢と日本(と日本人である読者)が採るべき道について書いてある。 出版社による…

【読書ノート】内藤 陽介『今日も世界は迷走中 - 国際問題のまともな読み方』

今日も世界は迷走中 - 国際問題のまともな読み方 -作者:内藤 陽介ワニブックスAmazon 2021年に出版された『今日も世界は迷走中 - 国際問題のまともな読み方』の続編(この本についてもブログを書いている)。 【新聞広告】8月4日(金) 産経新聞に広告を掲載し…

【読書ノート】君塚直隆『立憲君主制の現在 日本人は「象徴天皇」を維持できるか』 その8

前回からの続き。 第二次大戦中の国王:ジョージ6世 戦後の国王:エリザベス2世 「コモンウェルスの長」として 現在の立憲君主の役割(イギリス) 第二次大戦中の国王:ジョージ6世 前回はジョージ5世について書いたが、その後はエドワード8世、ジョー…

【読書ノート】君塚直隆『立憲君主制の現在 日本人は「象徴天皇」を維持できるか』 その7

前回からの続き。 ジョージ5世 労働党政権という画期 自由党の没落、保守党と労働党の二大政党制の始まり 1931年、挙国一致政権(第3次マクドナルド内閣) ジョージ5世の「君主の極意」 ジョージ5世 激動のイギリス政治の中で国王エドワード7世が亡くな…

【読書ノート】君塚直隆『立憲君主制の現在 日本人は「象徴天皇」を維持できるか』 その6

前回からの続き。 人民予算 議会法 人民予算 20世紀に入っても庶民の政治参画への熱は治まらなかった。保守党・自由党の二大政党は様々な労働者向けの政策を打ち出したり政治キャンペーンを行なって彼らの支持を取り付けようとした。いっぽう、労働者たちは…

【読書ノート】君塚直隆『立憲君主制の現在 日本人は「象徴天皇」を維持できるか』 その5

権力の下方への拡散(続き) 選挙法改正 二大政党制と政治家の変容 立憲君主制の確立 権力の下方への拡散(続き) 選挙法改正 選挙法改正の話をする前に、そもそもイギリス(イングランド)の歴史の中の選挙とはどのようなものかを確認する必要がある。 貴族…

【読書ノート】君塚直隆『立憲君主制の現在 日本人は「象徴天皇」を維持できるか』 その4

前回からの続き。 議会内閣制の歴史 権力の下方への拡散 「ジェントリ」の台頭 市民(ブルジョワ)の台頭 議会内閣制の歴史 本書では 内閣の歴史について本書71ページによれば、 「枢密院」(1530年代~)から「内閣評議会」(1630年代~)が切り離され、アン女…

【読書ノート】君塚直隆『立憲君主制の現在 日本人は「象徴天皇」を維持できるか』 その3

前回からの続き。 《清教徒革命→共和政→王政復古》の流れ 権利章典 《清教徒革命→共和政→王政復古》の流れ 17世紀半ばより始まった清教徒革命から共和政という大きな流れがあったが、結論を先に言えば、中心人物であるクロムウェルの死により、もとの王政の…

【読書ノート】君塚直隆『立憲君主制の現在 日本人は「象徴天皇」を維持できるか』 その2

前回からの続き。 立憲君主制の起源はイギリスに有り 賢人会議 大憲章(マグナカルタ) 二院制(貴族院と庶民院) 立憲君主制の起源はイギリスに有り 第2~4章までイギリス立憲君主制の歴史について書いてある。 第二章 イギリス立憲君主制の成立 第三章 …

【読書ノート】君塚直隆『立憲君主制の現在 日本人は「象徴天皇」を維持できるか』 その1

立憲君主制の現在: 日本人は「象徴天皇」を維持できるか (新潮選書)作者:君塚 直隆新潮社Amazon 出版社内容情報 目次 著者について 立憲君主制とはなにか 君主とはなにか 立憲君主とはなにか 内容 「はじめに」、第1章 民主主義と君主制 イギリス王室はなぜ…

【読書ノート】倉山満『天皇がいるから日本は一番幸せな国なのです 世界最古の立憲君主制の国』 その4

前回からの続き。 第4章と「おわりに」では、皇位継承問題を含む現代の皇室について書かれているが、ここでは基礎的な知識を書きとどめておく。 先例、男系、直系 「旧宮家復帰」という課題 先例、男系、直系 皇室を語る時に最も大事なのは、先例です。そう…

【読書ノート】倉山満『天皇がいるから日本は一番幸せな国なのです 世界最古の立憲君主制の国』 その3

前回からの続き。 天皇の役割 平時の役割 有事の役割 「統帥権の独立」「統帥権干犯問題」について 統帥権干犯問題の後遺症 統帥権の独立と天皇の関係 天皇の役割 天皇の役割についてはいろいろあるのだが、ここでは本書に書いてある政治と憲法に関わる話を…

【読書ノート】倉山満『天皇がいるから日本は一番幸せな国なのです 世界最古の立憲君主制の国』 その2

前回からの続き。 「天皇は国家元首」を歪める人たち 《宮沢俊義 ── 「象徴」を曲解した憲法学者》 「主権」とは何か? 帝国憲法の第1条から4条まで 「天皇は主権者だったのに、象徴になることによって主権を失った」という曲解 「統治」と「主権」の違い …

【読書ノート】倉山満『天皇がいるから日本は一番幸せな国なのです 世界最古の立憲君主制の国』 その1

天皇がいるから日本は一番幸せな国なのです作者:倉山 満宝島社Amazon 2020年(令和2年)1月に 宝島社より出版。 出版社内容情報/目次 君主のいる国 過去の権力移譲:嵯峨天皇 出版社内容情報/目次 出版社内容情報 2019年の即位の礼、大嘗祭。2020年には…

【読書ノート】倉山満『日本一やさしい天皇の講座』

日本一やさしい天皇の講座 (扶桑社新書)作者:倉山 満扶桑社Amazon 2017年(平成29年)5月に扶桑社(新書)より出版。 出版社内容情報 目次 著者について 二百年に一度の大事件、譲位問題 先例 「第4章 譲位を論じる」 「なぜ、天皇は必要なのか」「皇室は…

【読書ノート】江崎道朗『天皇家 百五十年の戦い』

天皇家 百五十年の戦い[1868-2019]作者:江崎 道朗ビジネス社Amazon 副題は《[1868-2019] 日本分裂を防いだ「象徴」の力》 目次 明治の国家体制が立憲君主制になるまでの流れ 福沢諭吉が主張する天皇・皇室の役割 本書の「戦い」の意味 継承の重み 「皇室を支…

【書評】内藤陽介『誰もが知りたいQアノンの正体 みんな大好き陰謀論II』

誰もが知りたいQアノンの正体 みんな大好き陰謀論II作者:内藤 陽介ビジネス社Amazon 著者について 目次 評 著者について 著者については 【書評】内藤陽介『世界はいつでも不安定 - 国際ニュースの正しい読み方』 - 歴史の世界を綴る を参照。 目次 序 章 ジ…

【書評】江崎道朗『日本占領と「敗戦革命」の危機』

日本占領と「敗戦革命」の危機 (PHP新書)作者:江崎 道朗PHP研究所Amazon 以下は出版社のPHPの内容紹介 北朝鮮や中国の悲劇は、日本で起きたかも知れなかった――。 日本の史上最大の危機は、昭和20年(1945)8月15日の敗戦直後に始まった。実は、敗戦で日本に…

【書評】田中 秀臣『脱GHQ史観の経済学 エコノミストはいまでもマッカーサーに支配されている』

脱GHQ史観の経済学 エコノミストはいまでもマッカーサーに支配されている (PHP新書)作者:田中 秀臣発売日: 2021/04/16メディア: Kindle版 GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)による日本の「経済民主化」は、増税をはじめ今日まで続く緊縮財政策の起源の一…

【書評】上念司『れいわ民間防衛 見えない侵略から日本を守る』

れいわ民間防衛作者:上念司発売日: 2021/02/04メディア: Kindle版 以下は出版社の飛鳥新社の内容紹介 謀略戦、心理戦、SNSを使ったプロパガンダと情報戦――〈進化した戦争〉に備えよ! 「我々は常に知識をアップデートし、見えない領域で迫りくる脅威に対抗し…

【書評】内藤陽介『世界はいつでも不安定 - 国際ニュースの正しい読み方』

世界はいつでも不安定 - 国際ニュースの正しい読み方 -作者:内藤 陽介発売日: 2021/03/10メディア: Kindle版 この本は、Youtubeの保守系教養番組「チャンネルくらら」の中の番組「内藤陽介の世界を読む」から、国際ニュースを理解する上で重要なものをピック…

【書評】奥山真司『“悪の論理”で世界は動く!~地政学—日本属国化を狙う中国、捨てる米国』

“悪の論理”で世界は動く!~地政学—日本属国化を狙う中国、捨てる米国作者:奥山 真司発売日: 2010/02/19メディア: 単行本 “悪の論理”とは倉前盛通氏が1977年に書いた『悪の論理―地政学とは何か』を指す。倉前氏のこの本は当時ベストセラーになったという。 さ…

【書評】江崎道朗『知りたくないではすまされない~ニュースの裏側を見抜くためにこれだけは学んでおきたいこと』

知りたくないではすまされない ニュースの裏側を見抜くためにこれだけは学んでおきたいこと作者:江崎 道朗発売日: 2018/12/19メディア: Kindle版 安全保障上の日米関係に関する本。 カバーそでの文章↓ トランプ大統領誕生から米中貿易戦争まで、なぜ日本人は…

【書評】渡瀬裕哉『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか~アメリカから世界に拡散する格差と分断の構図』

本書曰く、「分断」の原因は、アメリカの選挙にある。 候補者が当選するためには有権者にとって重要な問題「争点」における主張・論争の中で、有権者の信頼を勝ち取ることがどうしても必要だ。 しかし、現在の選挙ではその「争点」を無理やり作り出して、有…

【書評】奥山真司『地政学―アメリカの世界戦略地図』

最近(2020年)、『サクッとわかるビジネス教養 地政学』という本が3ヶ月で10万部売れた(出版社談)と話題になっている(出版社がそのように宣伝している)。この本の監修者が奥山真司氏だ。 私もこの本を買って読んでみたのだが、地政学よりも「地政学を…

【書評】江崎道朗・福島香織・宮脇淳子『米中ソに翻弄されたアジア史』

米中ソに翻弄されたアジア史 カンボジアで考えた日本の対アジア戦略作者:江崎 道朗,福島 香織,宮脇 淳子発売日: 2020/09/26メディア: 単行本(ソフトカバー) 副題は「カンボジアで考えた日本の対アジア戦略」。 帯には「中国共産党による各国への〝共産主義…

【書評】内藤陽介『みんな大好き陰謀論』

みんな大好き陰謀論作者:内藤 陽介発売日: 2020/07/04メディア: 単行本(ソフトカバー) 副題は「ダマされやすい人のためのリテラシー向上入門」。 帯には以下のように書いてある。 あなたは大丈夫? 賢い人ほどダマされる! 無自覚で拡散される負の連鎖を断…

【書評】マイケル・ピルズベリー『China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』

今回は書評を書く。 China 2049作者:マイケル・ピルズベリー発売日: 2015/09/03メディア: 単行本 著者について 出版について 本の内容 アメリカの致命的な判断ミス 中国の国家戦略 非道を繰り返す中国 私の注目点・感想 この本はどういう本かと言うと だいた…