歴史の世界

【書評】マイケル・ピルズベリー『China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』

今回は書評を書く。 China 2049作者:マイケル・ピルズベリー発売日: 2015/09/03メディア: 単行本 この本はどういう本かと言うと だいたい以下の通り。 第二次大戦直後はぼろぼろの発展途上国だった中国が、現在の超大国になっている。この裏には知られざる秘…

「春秋戦国時代/東周」カテゴリーの主要な参考図書およびウェブサイト

「春秋戦国時代/東周」シリーズ終了。 今回は あまり参考にできなかった本も書いていく。 司馬遷/史記 ひらせ たかお先生のご著書 中国史 上/昭和堂 落合淳思/古代中国の虚像と実像/講談社現代新書/2009 佐藤信弥/周/中公新書/2016 渡邉義浩/春秋…

戦国時代 (中国)⑱ 春秋戦国時代/東周のまとめ

これまで、春秋戦国時代/東周ついて書いてきた。今回からそのまとめを書く。 詳しいことは各記事参照のこと。 春秋戦国時代と東周について 春秋時代と戦国時代 春秋時代 戦国時代 戦国時代の特徴 戦国時代の流れ 春秋戦国時代と東周について 春秋戦国時代は…

戦国時代 (中国)⑰ 戦国時代までの市場経済の歴史について 後編(戦国時代)

前回からの続き。戦国時代突入。 今回も多くの部分は以下の本を参考にしている。 貨幣の中国古代史 (朝日選書)作者:山田 勝芳メディア: 単行本 経済の発達 貨幣の発行元 貨幣の流通の状況 楚の重要性 秦帝国に繋がる戦国秦の貨幣制度 経済の発達 戦国時代に…

戦国時代 (中国)⑯ 戦国時代までの市場経済の歴史について 中編(春秋時代)

前回からの続き。今回は春秋時代。 今回も多くの部分は以下の本を参考にしている。 貨幣の中国古代史 (朝日選書)作者:山田 勝芳メディア: 単行本 春秋時代の変化 楚(江南)の銅貝貨 中原(黄河中流域)の布銭 斉(黄河下流域)の刀銭 春秋時代における貨幣…

戦国時代 (中国)⑮ 戦国時代までの貨幣の歴史について 前編

これから貨幣の歴史について書く。 この記事の多くの部分は以下の本を参考にしている。 貨幣の中国古代史 (朝日選書)作者:山田 勝芳メディア: 単行本 重要な用語:互酬・再分配・交換 先史時代 殷代:貝と亀甲 西周代 重要な用語:互酬・再分配・交換 まず、…

戦国時代 (中国)⑭ 後期 秦王・政(始皇帝)による中華統一

秦王・政(始皇帝)による中華統一を書く。 年表で見る中華統一 中華統一事業は李斯の影響? 年表で見る中華統一 相国・呂不韋を罷免して、秦王・政は実権を手にした。この時、前237年。最後に残った斉を滅ぼし全国統一を果たしたのが前221年。わずか16年で…

戦国時代 (中国)⑬ 後期 秦王・政(始皇帝)登場

戦国時代もいよいよ大詰め、秦王・政(始皇帝)の登場。 秦の中華統一は おおかた昭襄王の時に準備はできていた(前回の記事参照)が、昭襄王の死後に二代立て続けに王が早死にしたので、少しの間 足踏み状態となった。そして秦王・政の代となり再び征服事業…

戦国時代 (中国)⑫ 後期 秦・昭襄王の治世

中華統一を果たすのは秦王・政(のちの始皇帝)だが、政が王になるより前に秦の中華征服事業を止めることができる勢力は無くなっていた。この状況は始皇帝の三代前の秦王・昭襄王の治世で起こった。 今回は昭襄王の治世を中心に書く。 「中国の統一は始皇帝…

戦国時代 (中国)⑪ 後期 周王室の滅亡(東周の歴史)後編

前回からの続き。 春秋時代の終わり頃になると、「覇者体制」が崩壊する。これにより周王室は(形式上の)中華のオーナーという立場を失い、それのみならずその存在感までも失ってしまった。 各諸侯国は新しい秩序を求めはじめ、周王室は戦国時代に出来上が…

戦国時代 (中国)⑩ 後期 周王室の滅亡(東周の歴史)前編

周王朝が滅亡するのは前256年である。秦によってあっけなく滅ぼされてしまった。 春秋戦国時代において最弱レベルの勢力が戦国末期まで生き延びることができたのは興味深いのでここに書き留めておく。 ここでは春秋時代までさかのぼって東周の歴史について書…

戦国時代 (中国)⑨ 後期 「秦一強」の時代到来

斉と秦の二強の時代が中期で、秦の一強時代が後期。そして最期は秦が他国を滅亡の縁から押し切って中華統一を果たす。 「強国・斉」の衰退と秦の侵略戦争 秦の強さについて 「強国・斉」の衰退と秦の侵略戦争 斉の衰退の原因については↓の記事で書いた。 戦…

「諸子百家」カテゴリーの主要な参考図書およびウェブサイト

「諸子百家」シリーズはこれで終わり。 この記事では主な参考図書を書き留めておく。 諸子百家全般 浅野裕一/雑学図解 諸子百家/ナツメ社/2007 Es Discovery/中国古典の解説 儒家 浅野裕一/儒教 ルサンチマンの宗教/平凡社新書/1999 加地伸行/儒教と…

諸子百家のまとめ③(道家/法家)

今回は道家と法家。まとめはこれで終わる。 道家と「道」 『老子』 『荘子』 道家と道教の関係 法家 人は利で動く 人間不信 君主論あるいは帝王学 道家と「道」 道家とは「道」を重要視する思想。 「道」は道家に限らず古代中国思想における概念の一つであっ…

諸子百家のまとめ②(墨家/兵家)

諸子百家のまとめの続き。 今回は墨家と兵家を書く。 このブログでは以前に、兵家について孫子と呉子を扱ったが、ここでは呉子に触れない。 墨家 兼愛/兼愛交利 非攻 墨家集団の滅亡 兵家(孫子) 「兵とは国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざるべか…

諸子百家のまとめ①(諸子百家について/儒家)

これまで、諸子百家のうち、儒家、墨家、兵家、道家、法家について書いてきた。今回からそのまとめを書く。 この記事では諸子百家と儒家について重要なキーワードを紹介する。 諸子百家について 諸子百家は「十家」 斉の臨淄:諸子百家の中心地 儒家 孔子は…

法家(11)韓非子(『韓非子』とその後の中国史)

秦帝国 韓非の死後、秦の国王嬴政と丞相李斯が中華統一を果たす。秦帝国は李斯の指揮の下で法家の政治をもって全国を統治した。 しかし始皇帝を継いだ二世皇帝 *1 胡亥は凡愚な皇帝で『韓非子』の法術を使いこなす能力は無く、暗君でも国政を維持できるほど…

法家(10)韓非子(「一個人」を考慮しない思想)

『韓非子』は、神秘主義・理想主義を排除して、現実主義の立場を採った。この時、『韓非子』は「人は利で動く」という人間観を採用した結果、人間の一人ひとりの理性や能力に期待することを頭の中から排除した。 『韓非子』は一貫して君主の立場に立って考え…

法家(9)韓非子(『韓非子』の人間不信について)

『韓非子』の人間不信については《人主の患は、人を信ずるにあり。人を信ずれば則ち人に制せらる》(備内篇)の言葉を引用して説明を済ませることもできるが、この記事ではもう少しだけ深堀りして見ようと思う。 『韓非子』はどうして「人間不信」に至ったの…

法家(8)韓非子(『韓非子』の「徳」/「徳」の原義)

諸子百家のシリーズで「徳」に関する記事を何個か書いたが、今回やっと納得できた気がする。 『韓非子』の「徳」にからめて書いていこう。 諸家の「徳」 「徳」の原義 諸家の「徳」 現代の日本では「徳」は儒家が唱えた概念、つまり「仁愛にもとづく人倫道徳…

法家(7)韓非子(儒家との比較 -- 「矛盾」と「守株」)

「矛盾」と「守株」は『韓非子』由来の言葉。 この2つの言葉は儒家を批判する文章の中から生まれた。 この記事では2つの言葉をもって『韓非子』が儒家に対してどのような批判をしたのかを見ていく。そこに儒家と法家の違いが見えてくる。 「矛盾」 守株 「…

法家(6)韓非子(「勢」と「術」)

今回は「勢」と「術」について。 「勢」 術 法術思想の矛盾 「勢」 「勢」については別の記事の《慎到の節》 で書いたので、先に読んでほしい。 『韓非子』難勢篇は慎到の勢の概念に賛同する論説だ。 そして以下のように「勢」について書いている(『韓非子…

法家(5)韓非子(「法」)

今回は『韓非子』の「法」について。 「法」の目的 刑罰について 現代中国まで続く『韓非子』の「法」思想 法家の思想は法によって世の中を治めようという政治思想だ。そしてこの「法」とは成文法のことで、文書化して世に示して人々に従わせることを基本と…

法家(4)韓非子(『韓非子』とは?/著者と時代背景)

この記事より『韓非子』について書いていく。 今回は、時代背景の話がメイン。荀子と韓非の関係について。 『韓非子』とは? 著者・韓非の生涯 時代背景 荀子の影響について 『韓非子』とは? 『韓非子』は法家を代表する書。この書は戦国末期の韓非によって…

法家(3)韓非子の先人たち 後編

前回の続き。 申不害 慎到 申不害 申不害は戦国初期の人で、韓の釐侯(=昭侯)に15年間 仕えた。 紀元前375年に鄭を滅ぼしたものの、戦国時代の韓は七雄の中では最弱であり、常に西の秦からの侵攻に怯えていた。しかし申不害(? - 紀元前337年)を宰相に抜…

法家(2)韓非子の先人たち 前編

この記事では、韓非子より前の人物を紹介していく。 李悝(かい)(=李克) 商鞅 呉起 商鞅・呉起の最期 前回の引用の一つに「春秋時代の管仲が法家思想の祖」とあり、 「平凡社百科事典マイペディア/法家(ほうか)とは - コトバンク」 によれば、春秋時代…

法家(1)法家とは何か/時代背景/法家と儒家の対立点

この記事より何回かに亘って法家について書いていく。 この法家の思想は、他の諸子百家の思想と同様、現代中国まで影響を及ぼしている。 法家とは何か 時代背景 法家と儒家の対立点 法家とは何か 中国古代に興り,刑名法術を政治の手段として主張した学派。…

道家(29)荘子(『荘子』の有名な言葉)

これから『荘子』が出典の有名な言葉を書いていく。 ネット検索してみると、「荘子の故事成語一覧 - 成句 - Weblio 辞書」というものを見つけた。たくさんある。 この中で気になったものを数点書いていこう。 井の中の蛙、大海を知らず 蟷螂の斧 至れり尽く…

道家(28)荘子(徳/徳充符篇/明鏡止水)

今回は「徳」について。 私たち一般的な日本人が思い浮かべる「徳」とは異なる。 徳充符篇とは? 『荘子』の「徳」について 徳の充ちたる者とは? 明鏡止水 徳充符篇とは? 「徳」については、徳充符篇で語られている。「徳」の意味については後述、「充」は…

道家(27)荘子(養生)

今回は「養生」について。 「養生」とは何か? 『荘子』養生主篇 在宥篇から 『荘子』の養生論の中身 「養生」とは何か? まず、『荘子』や道家のことを一旦 脇において、一般的な「養生」の意味を確認する。 ① 健康に注意し、病気にかからず丈夫でいられる…