アフリカ_エジプト文明①
中王国時代までで一旦「エジプト文明」を離れる。 ここではこれまで利用した主要な参考図書およびウェブサイトを書き留めておこう。 ブライアン・フェイガン/古代文明と気候大変動/河出書房新社/2005(原著は2004年出版) 高宮いづみ/エジプト文明の誕生…
灌漑 書記(官吏) 文学 灌漑 ナイル川については、「先史⑪ ナイル川下流域 -- エジプト文明の舞台」で書いた。人工灌漑の話をする前にリンク先の知識が必要だ。 詳しくは、リンク先で紹介しているが、ナイル川は1年の中で繰り返す水量の増減が、耕地に養分…
中王国時代のまとめのようなことを書く。今回は古王国時代や第1中間期からつながる話。 マアト(秩序)の維持と社会正義 古王国時代のマアトの維持 中王国時代のマアトの維持 高官たちの墓と社会正義 宗教上の大衆化・民主化 オシリス神の大衆化 コフィン・…
第13王朝と第14王朝は第2中間期に分類する研究者もいるが、このブログでは中王国時代に分類する方を採用する。 第13王朝の初期は第12王朝と繋がりを持ち王都も同じだ。 第14王朝はデルタ東部の都市アヴァリス(現在のテル・エル=ダバア遺跡)でレヴァント…
前回からの続き。 アメンエムハト3世 アメンエムハト4世 セベクネフェル 王朝交代 アメンエムハト3世 王の治世が中王国時代の最盛期とされる。先代までの貯金を着実に増やした結果と言えるだろう。 内政としてはファイユーム開拓が挙げられる。アメンエムハ…
前回からの続き。 行政改革(中央集権化) ヌビア遠征 建築王 王としての威厳 マネトーによれば、センウセレト3世は身長約2メートルの大男であった。 大きな体格は現在においても、政治に限らず交渉事においてアドバンテージになり得る。しかしアドバンテー…
第12王朝は、8人の王を出しておよそ200年続く。最後の2人を除けば有能な王が続いた王朝のようだ(都合の悪い記録を遺していないか発掘できていないだけかもしれないが)。 6代目の王の治世で最盛期を迎えるが、7代目が若いうちに子をもうけずに亡くなり…
王朝交代 初代王アメンエムハト1世 業績①王都遷移 業績②ピラミッド建造 業績③外征と「支配者の壁」 業績④共同統治(と暗殺) 正当性を主張するための文学『ネフェルティの予言』 王朝交代 前回も書いたが、第11王朝の最後の王はメンチュヘテプ4世という。彼…
再統一のことは前回書いたので、それを差し引いた第11王朝の歴史を追ってみよう。 政治・行政・軍事 第11王朝の政治・行政については ほとんど分からない。 エジプト再統一前の第11王朝の政治・行政については全く分からない。 再統一後は、ピーター・クレイ…
中王国時代はエジプト再統一から始まる。 統一したのは、第11王朝第4代メンチュヘテプ2世。 この記事では第11王朝の起源から再統一までを書いてみよう。 第11王朝とは? テーベ州侯時代 テーベ州侯時代の戦いの時系列 第11王朝とは? 「エジプト第11王朝 - …
古王国時代の崩壊とともに、それまでの文化も破壊された。 飢餓をも含む絶望的な状況から回復する中で、旧来の文化の復活とともに新しい文化も興った。 文学作品に現れる当時の悲惨な情景 「民主化」 文学作品に見える「社会正義」 文学作品に現れる当時の悲…
第9王朝(前2160年頃 - 前2130年頃) ヘラクレオポリスは上エジプト第20県(ナルト・ケンテト)の首都であり、ここに拠点を置く州侯は統一王朝の弱体化につれて自立勢力となった。ヘラクレオポリス侯だったケティ1世(メリイブラー・ケティ)は上下エジプト…
第1中間期は、古王国時代と中王国時代の間の混乱期を指す。文字資料も考古学的資料も かなり少ないので分かることだけ集めて、書いておこう。 もう一つ。古王国時代の崩壊の原因である気候変動について書く。この問題は第1中間期を覆う問題だ。 気候変動(…
第5王朝 この時代になると、官僚組織から王族が撤退するようになる。このことについては「太陽信仰とオシリス信仰」で書いた。 高宮氏は「第4王朝半ば頃のメンカウラーの治世から王族以外が宰相に任命されるようになり、官僚職の王族離れが始まった」(p17…
政治史+行政史+経済史を語れば、普通はその地域の歴史としてほぼ十分なのだが、古王国時代は逆にピラミッドの歴史が9割超を占め、その他はおまけになってしまっている。 この記事では、政治・行政・経済の歴史中心としたの話を書こう。ただしほとんどの歴史…
第5王朝 第6王朝(最後の王朝) 第5王朝 第5王朝のピラミッド関連のことは「エジプト文明:古王国時代⑤ ピラミッドと宗教 その3 太陽信仰とオシリス信仰」でも書いた。 第5王朝初代ウセルカフ王から宗教上の様式が大きく変わり、王たちはピラミッドを…
前回からの続き 主に、ピラミッド建造の労働者について書いていこう。 スフィンクスについて ピラミッドの建設労働者たち 労働者は奴隷? 「ピラミッド建造=公共事業説」と国家の発展 結果的には公共事業的な効果はあったのではないか? メンカウラー王のピ…
今回はギザの三大ピラミッドについて書く。 ギザの三大ピラミッド/「真性ピラミッド」 ピラミッドの石材 『メレルの日誌』について 建造期間について ギザの三大ピラミッド/「真性ピラミッド」 私たちがイメージするピラミッドは側面が平らかな正四角錐の…
古代エジプト人は来世に強い関心を持っていることは以前に書いた(古代エジプト人の来世観 )。王だけでなく、古代エジプト人は来世で再生復活することを考えて、墓をどのような構造にするかを考えた。ピラミッドは当時の王の宗教的表現の1つと言える。 さ…
今回も建築技術云々は すっ飛ばして宗教の話をする。ただし政治の話が少なからず混じってしまった。 ギザの三大ピラミッド(第4王朝) 太陽神殿(第5王朝) 太陽信仰の後退とオシリス信仰 ピラミッド・テキスト 第6王朝 ギザの三大ピラミッド(第4王朝)…
この記事では、ピラミッドと太陽信仰について書いていく。 最古のピラミッドと太陽信仰 太陽信仰と四角錐 なぜピラミッドは建造されたのか(建造の目的) 最古のピラミッドと太陽信仰 最古のピラミッドは、第3王朝初代のジェセル(ネチェリケト)王の王墓だ…
古王国時代の宗教観とピラミッドがどのように結びついているのかを書いていく。 この記事では、民間を含むエジプト全体の来世観・死生観・宗教を書いていく。 来世観と宗教 来世で永遠に生き続けるために必要な知識と行動 「カー」と「バー」 3要素の再合一…
エジプトのピラミッドは古王国時代に始まり、古王国時代に集中的に建造され、古王国時代にピークがあり、ピークの後 衰退する。だから古王国時代は「ピラミッドの時代」とも言われている。 古王国時代の人口は およそ120万人とされるが、その人数であれだけ…
馬場匡浩『古代エジプトを学ぶ』*1によれば、初代はジェセルだが、高宮いづみ『古代エジプト文明社会の形成』*2によれば、ジェセルの前にサネケト等の先行する王が「いたようである」と書いている。 「第3王朝の初代は誰か?」という問題は資料不十分な古代…
これまで初期王朝時代について数記事書いてきたが、この記事で終わりにする。概要的なものも書いてなかったので、これも書いておこう。そして最後にまとめを書く。 初期王朝時代の年代 第1王朝・第2王朝について ペルイブセンとカセケムイ 初期王朝時代の…
国家と国内の人口 王都メンフィス ノモス 外国と城壁 国家と国内の人口 F.A.ハッサンによれば(Hassan 1993)、古王国時代のエジプトの総人口は120万人程度であり、農村人口は114万人程度、平均的な集落の人口は450人くらいであったという。つまり都市の数と…
エジプト統一からの政治・行政の進展はかなりスローペースだったようだ。行政組織は王族を中心に構成され、王家の家政と国家の区別が曖昧だった。 行政の進展と歩調を合わせるように文字の進展も遅かった。 王号「ファラオ」について 世界初の領域国家 領域…
王権について まずは権力とは何か。 一番簡潔な定義は「他人を支配し従わせる力。特に国家や政府が国民に対して持っている強制力」(権力とは - コトバンク/三省堂 大辞林第三版 )。 上をふまえて、王権を王の権力と言ってしまえばいいのだが、少しネット…
ナルメルのパレットは「エジプト文明の始まり」を話題にするときに常に登場するモノ。とても有名な遺物の一つ。 しかしこれが重要なモノであることは分かるが、その中身や何が重要なのかについては語られない。なのでここで書いていこう。 出典:ナルメル - …
「誰がエジプトを統一したのか?」「王朝時代の最初の王は誰か?」という疑問は当然興味が湧く問題だろう。この問題については、異論はあるものの、いちおう決着がついているようだ。 これに関連して王名表の話も書いておこう。 王朝時代の王名表 誰がエジプ…