歴史の世界

2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

中国文明:西周王朝⑨ 後半期Ⅱ その2 衰退から滅亡へ

宣王の時代 権臣とは 異民族について 幽王と西周滅亡 「理想化された古代王朝」 宣王の時代 金文によれば、宣王は南方の勢力に貢納を要求したという(これは先々代の夷王の頃から要求していた。前回の記事参照)。そしてこれは蛮夷の反乱を引き起こした。ま…

中国文明:西周王朝⑧ 後半期Ⅱ その1 厲王の時代/「共和」の時代

今回も佐藤信弥『周』(中公新書/2016)を中心にして書いていく。 今回は厲王と「共和」について。 厲王の時代 佐藤信弥氏の見立て 谷秀樹氏の見立て その他の研究者の見立て 「共和」の時代 厲王の時代 厲王は、『史記』などの伝世文献では、殷の紂王と並…

中国文明:西周王朝⑦ 後半期Ⅰ その2 貴族から奴隷まで/影の薄い王たち

前回に貴族制社会のことに触れたので、ここでは、西周後半期の身分/階級について書いていこう。 身分/階級:貴族から奴隷まで 影の薄い王たち 身分/階級:貴族から奴隷まで 当時の社会の構成については、王とその一族を除けば、(1)統治階級に属する貴族、…

中国文明:西周王朝⑥ 後半期Ⅰ その1 貴族制社会の出現/冊命儀礼

この記事から後半に入る。引き続き佐藤信弥『周』(中公新書/2016)に頼って書いていく。 統治体制の大転換/貴族制社会の出現 冊命儀礼 統治体制の大転換/貴族制社会の出現 前回書いたように、昭王の南征失敗を機に、昭王の次代の穆王は領土拡張政策は放…

中国文明:西周王朝⑤ 前半期Ⅱ その2 祭祀儀礼と戦争

「会同型儀礼」 「戦闘は続いていた」 昭王の南征 「会同型儀礼」 西周前半期の王が諸侯たちの上に支配/君臨するために、王はどのようなことを行ったのか。 ひとつは「朝見」だ。朝見とは、「臣下が朝廷に参内(さんだい)して天子に拝謁すること*1」。 西周…

中国文明:西周王朝④ 前半期Ⅱ その1 封建と官制

封建とは? 西周の封建の実相 封建の目的 官制 封建とは? 周王朝は、殷代には見られなかった画期的な制度も創始しており、それが「封建」である。周は殷を滅ぼした後、その支配地域の大部分を継承したが、各地に王の子弟や臣下を派遣し、諸侯(地方領主)と…

中国文明:西周王朝③ 前半期Ⅰ

さて、前回の時代区分に沿って歴史を見ていこう。 前々回に武王が殷王朝を滅ぼしたところまで書いた。 今回はその後から成王の代までを書く。 「三監の乱」 ~殷の遺民の反乱 東征 成周の建設 「三監の乱」 ~殷の遺民の反乱 武王は殷王朝打倒のあと、数年で…

中国文明:西周王朝② 系譜/時代区分/金文とは?

系譜 時代区分 伝世文献と同時代の文献/金文 金文とは? 系譜 出典:周 - Wikipedia ⑫代の幽王までが西周。 時代区分 以下は佐藤信弥『周』(中公新書/2016/p10-11) 西周前半期Ⅰ 文王・武王・成王の時代。周王朝の創建期。文王・武王の2代による殷王朝…

中国文明:西周王朝① 西周王朝の先史/建国

これより周王朝に関する記事を書いていく。 まずはじめに先史、それから建国について。 先周文化 周原~周族の発祥地 殷末の状況 「克殷」~周が殷を倒した/周建国 先周文化 以下の地図は殷王朝後期の勢力圏と先周文化の位置を表す。 出典:宮本一夫/中国…

中国文明:殷王朝⑦ 後期 その4 後期の歴史の流れ

この記事では落合淳思『殷』(中公新書/2015)に頼って書く。詳細はこの本参照。 武丁期(殷王朝後期の初期。前13世紀後半) 祖己~祖甲(前12世紀) 庚丁~帝辛(紂王) 武丁期(殷王朝後期の初期。前13世紀後半) 現代中国における通説では、殷王朝後期の…

中国文明:殷王朝⑥ 後期 その3 神権政治

自然神と祖先神 自然神/自然への恐れ 祖先神/祟り神 「帝」への信仰 犠牲 「人牲」(奴隷の犠牲)/殷代は「奴隷制社会」ではなかった 信仰の政治利用 甲骨占卜の操作と改竄 「神権政治」とはなにか? 自然神と祖先神 自然神/自然への恐れ 人類はその「人…

中国文明:殷王朝⑤ 後期 その2 体制/軍事

王朝の王統 殷墟遺跡に見る体制 王朝を支える集団/王朝の直轄地と支配領域 「邑制国家」という用語 軍事 王朝の王統 殷王朝は実の父子相続を基本とする本来の意味での「王朝」ではなかった。つまり世襲する場合もあるがしない場合もあった。 しかしその相続…

中国文明:殷王朝④ 後期 その1 甲骨文字の出現

殷後期で一番に取り上げるべきものは文字の出現だ。文字自体は殷後期より前にあったと考えられているが、まとまった文字資料として使用できるようになるのはこの頃からだ。 中国の文字はどこまで遡れるか? 甲骨文字とはなにか? 中国の文字はどこまで遡れる…