歴史の世界

2021-01-01から1年間の記事一覧

【読書ノート】倉山満『日本一やさしい天皇の講座』

日本一やさしい天皇の講座 (扶桑社新書)作者:倉山 満扶桑社Amazon 2017年(平成29年)5月に扶桑社(新書)より出版。 出版社内容情報 目次 著者について 二百年に一度の大事件、譲位問題 先例 「第4章 譲位を論じる」 「なぜ、天皇は必要なのか」「皇室は…

エジプト第3中間期③ 第22王朝 2代目オソルコン1世から/第23王朝/第24王朝

前回からの続き。 2代目オソルコン1世から シェションク1世(前945年 - 前922年) オソルコン1世(前924年 - 前887年) シェションク2世(前887 - 前885年) タケロト1世(前885年 - 前872年) オソルコン2世(前872年 - 前837年) シェションク3世(前837…

エジプト第3中間期② 第21王朝/第22王朝 初代シェションク1世まで

この記事では、歴代王の整理の出自がどのようなものであったかという問題がほとんどで、事績などは断片的なものしか書いていない。記録が少ないのだから仕方がない。 第21王朝 第22王朝 (初代シェションク1世まで) 第21王朝 スメンデス1世 前1069年 - 前1…

エジプト第3中間期① エジプト第3中間期の説明/アメン大司祭国家

古代エジプト文明の黄昏。 エジプト第3中間期 アメン大司祭国家 エジプト第3中間期 第20王朝の終わりを以って新王国時代が終わる。そして第3中間期が始まる。 新王国時代では、エジプトはオリエント世界の覇権国家だったが、第3中間期からは国内は混乱が治…

【読書ノート】江崎道朗『天皇家 百五十年の戦い』

天皇家 百五十年の戦い[1868-2019]作者:江崎 道朗ビジネス社Amazon 副題は《[1868-2019] 日本分裂を防いだ「象徴」の力》 目次 明治の国家体制が立憲君主制になるまでの流れ 福沢諭吉が主張する天皇・皇室の役割 本書の「戦い」の意味 継承の重み 「皇室を支…

「海の民」

「海の民」は、ヒッタイトや、ミケーネ諸王国、シリア・パレスチナ諸国を崩壊させ、エジプトと大規模な戦争をした驚異の集団として今に伝えられている。 ただし、彼らは非文明人であり、記録を遺しておらず、上記の地域でもエジプト以外の記録は見当たらない…

エジプト第20王朝 (新王国時代最期の王朝)

前回からの続き。 初代セトナクト 大ハリス・パピルス "最後の偉大な王"ラメセス3世 ラムセス3世の戦争 世界初のストライキ? 暗殺 ラメセス3世の死後 凋落と王墓盗掘 以下は第20王朝のファラオの一覧。ほとんどがラメセス(ラムセス)を名乗っているので…

エジプト第19王朝② メルエンプタハから王朝の終焉まで

《エジプト第19王朝① 初代からラメセス2世まで》の続き。 メルエンプタハ リビア人(リビュア人) イスラエル・ステラ(イスラエル碑) メルエンプタハより後の王/第19王朝の終焉 前1279 - 1212年頃 ラメセス2世 前1212 - 1202年頃 メルエンプタハ 前1202 …

【書評】内藤陽介『誰もが知りたいQアノンの正体 みんな大好き陰謀論II』

誰もが知りたいQアノンの正体 みんな大好き陰謀論II作者:内藤 陽介ビジネス社Amazon 著者について 目次 評 著者について 著者については 【書評】内藤陽介『世界はいつでも不安定 - 国際ニュースの正しい読み方』 - 歴史の世界を綴る を参照。 目次 序 章 ジ…

【書評】江崎道朗『日本占領と「敗戦革命」の危機』

日本占領と「敗戦革命」の危機 (PHP新書)作者:江崎 道朗PHP研究所Amazon 以下は出版社のPHPの内容紹介 北朝鮮や中国の悲劇は、日本で起きたかも知れなかった――。 日本の史上最大の危機は、昭和20年(1945)8月15日の敗戦直後に始まった。実は、敗戦で日本に…

エジプト第19王朝① 初代からラメセス2世まで

前回からの続き。 セティ1世 ラメセス2世 首都ペル・ラメセス ラメセス2世の建設期 前回も書いたが、第18王朝の最期の王ホルエムヘブは子供がいなかったので腹心であった軍司令官パ・ラメス(のちのラムセス1世)を後継に指名し、スムーズに継承された。 …

エジプト第18王朝⑨ アイ/ホルエムヘブ

前回からの続き。 アイ ホルエムヘブ 前1325 - 1321年頃 アイ(Ay) 前1321 - 1293年頃 ホルエムヘブ(Horemheb) 出典:ファラオの一覧 - Wikipedia アイ ツタンカーメンが若くして死んでしまった(ミイラからの推測で19歳か20歳)。 残された正妃アンケセナー…

エジプト第18王朝⑧ ツタンカーメン/アメン神信仰の復活/アジア遠征の復活

前回からの続き。 今回は古代エジプトの中でも非常に有名なツタンカーメン。 ツタンカーメンの即位 アメン神信仰の復活 アジア遠征の復活 なぜツタンカーメンは有名なのか ツタンカーメンの即位 前1350 - 1334年頃 アメンヘテプ4世(Amenhotep IV) 前1336 - 1…

エジプト第18王朝⑦ アクエンアテン 後編(アマルナ美術/アマルナ文書/アマルナ革命の途絶)

前回からの続き。 アマルナ美術 アマルナ文書 アマルナ革命の挫折/なぜ革命は挫折したのか? アマルナ美術 下記の引用のイクナートンとはアクエンアテンのこと。 古代エジプトの宗教改革王イクナートンが,その信奉するアテン信仰の原理に基づいて,自ら指…

エジプト第18王朝⑥ アクエンアテン 前編(アマルナ革命)

前回からの続き。 アメンホテプ4世(=アクエンアテン)はアメン神官団と決別した、古代エジプトでも特に有名な王の一人だ。 アメンホテプ4世の即位 アマルナ革命 目的:専制君主 宗教改革 アテン神信仰の特徴 他の信仰の「迫害」 アメンホテプ4世(=アクエ…

エジプト第18王朝⑤ ミタンニとの同盟/アメン神官団と王権

エジプト第18王朝④ からの続き。 ミタンニとの同盟 アメン神官団と王権 ミタンニとの同盟 トトメス3世(前1504年 - 前1450年) アメンヘテプ2世(前1453年 - 前1419年) トトメス4世(前1419年 - 前1386年) アメンヘテプ3世(前1386年 - 前1349年) 出典:…

ヒッタイト新王国① シュッピルリウマ1世まで

新王国時代の初期 シュッピルリウマ1世 ミタンニ攻略 対エジプト政策 シュッピルリウマの最期 新王国時代の初期 トゥドハリヤ1世(前1390年頃?)(以下の4代の王は、血縁関係や在位年代が不明) アルヌワンダ1世 トゥドハリヤ2世 ハットゥシリ2世 トゥドハリ…

ヒッタイト中王国

ヒッタイトの歴史は3分割され、それぞれ古王国・中王国・新王国となっている。中王国は混乱期のため、ほとんど言及されないが、Wikipedia(日本語版or英語版)に諸王のページがあるのでこれを使って中王国を書いてみる。 ちなみに、この歴史は中東またはオリ…

エジプト第18王朝④ ハトシェプスト(女王)とトトメス3世

前々回からの続き。 ハトシェプスト(女王) トトメス3世 ハトシェプスト(女王) トトメス2世は庶出の子であるトトメス3世を後継者と指名したが、トトメス2世の正妃であるハトシェプストが2世の死後に実権を握り女王となった(前1490年頃-1468年頃)。 …

【書評】田中 秀臣『脱GHQ史観の経済学 エコノミストはいまでもマッカーサーに支配されている』

脱GHQ史観の経済学 エコノミストはいまでもマッカーサーに支配されている (PHP新書)作者:田中 秀臣発売日: 2021/04/16メディア: Kindle版 GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)による日本の「経済民主化」は、増税をはじめ今日まで続く緊縮財政策の起源の一…

エジプト第18王朝③トトメス1世とトトメス2世/王家の谷

今回は三代目トトメス1世とトトメス2世について。 トトメス2世についてはおまけ程度。 トトメス1世とトトメス2世の即位 遠征 ヌビアを植民地化 王家の谷 トトメス1世とトトメス2世の即位 三代目トトメス1世(前1504-1492年)は、王族かそうでないか…

エジプト第18王朝② 2代目アメンホテプ1世/カルナック神殿/アメン神

2代目アメンホテプ1世の治世でエジプト統一事業は大方かたづいたようだ。 アメンホテプ1世は外征もしたが、彼の大部分のエネルギーは内政に注がれた。 外征 内政 宗教・葬祭関連 ピラミッド造営の断念 アメン神 カルナック神殿/アメン神殿 アメン神官団 王…

エジプト第18王朝①

今回から第18王朝のことを書く。 この記事は以下の記事の続き。 エジプト第2中間期③ 第17王朝/エジプト統一戦争 初代、イアフメス1世 エジプト外の支配について パレスチナ ヌビア 内政 ピラミッド建設 初代、イアフメス1世 第18王朝の初代 イアフメス1世(…

【書評】上念司『れいわ民間防衛 見えない侵略から日本を守る』

れいわ民間防衛作者:上念司発売日: 2021/02/04メディア: Kindle版 以下は出版社の飛鳥新社の内容紹介 謀略戦、心理戦、SNSを使ったプロパガンダと情報戦――〈進化した戦争〉に備えよ! 「我々は常に知識をアップデートし、見えない領域で迫りくる脅威に対抗し…

ルトワック先生の「パラドキシカル・ロジック」と孫子

エドワード・ルトワック『戦争にチャンスを与えよ』を読んだが、この本で最も重要だと思われる事柄は「パラドキシカル・ロジック(逆説的論理)」だ。 第6章「パラドキシカル・ロジックとはなにか ── 戦略論」を二度三度と読んでみたら「これって《陰陽》だ…

エジプト第2中間期③ 第17王朝/エジプト統一戦争

今回は第17王朝について。 この王朝がヒクソスを滅ぼし、エジプトを統一する。統一したイアフメス1世は第17王朝の王であったが、エジプトを統一したということで新しい王朝、第18王朝の初代に分類されている(イアフメスの先代王カーメスが第17王朝の最後の…

エジプト第2中間期② 第15王朝(ヒクソス政権)と第16王朝ほか

第15王朝(ヒクソス政権)の実態はよく分かっていない。その理由はエジプト政権である第17王朝と第18王朝がヒクソス政権の遺物を破壊してしまったからだ。 第15王朝 支配について 交易・外交 第16王朝について アビドス王朝について 第15王朝 第15王朝の誕生…

エジプト第2中間期① ヒクソス政権(第15王朝)の誕生

エジプト第2中間期についてはwikipediaのように第13王朝から始まる説もあるのだが、このブログではヒクソス政権が始まる第15王朝から始まる説を採用する。 この時代の中心はヒクソスというシリア・パレスチナ(レヴァント)から来た民族だが、エジプト人政権…

「アフリカ_エジプト文明②」シリーズを書く

エジプト文明については以前にも書いている。 rekishinosekai.hatenablog.com ↑のカテゴリーでは、エジプトの先史からエジプト中王国時代まで書いた。 今回から新しいカテゴリー「アフリカ_エジプト文明②」を設けて、エジプト中王国時代の後のエジプト第2中…

【書評】内藤陽介『世界はいつでも不安定 - 国際ニュースの正しい読み方』

世界はいつでも不安定 - 国際ニュースの正しい読み方 -作者:内藤 陽介発売日: 2021/03/10メディア: Kindle版 この本は、Youtubeの保守系教養番組「チャンネルくらら」の中の番組「内藤陽介の世界を読む」から、国際ニュースを理解する上で重要なものをピック…