解剖学的現生人類と現代的行動
どうやら「身体は完全な現生人類(ホモ・サピエンス)だが現代的行動を身に着けていない現生人類のこと」という意味のようだ*1。この用語ができた時点では現代的行動を身に着けた人類こそが真のホモ・サピエンスだ、という認識があった。
しかし現在では、現代的行動を持っているかどうか分からない場合にもこの言葉を使うらしい。
現代的行動については「現代的行動<wikipedia」に簡潔に書いてある。このブログでも取り上げた(「先史:ホモ・サピエンスの「心の進化」/現代的行動」 )。
ホモ・サピエンスの現代的行動の出現は10年前まで遡れるらしい。これについても「現代的行動<wikipedia」に書いてある。以前は5万年前あたりにヨーロッパで突然のように出現したという説が有名だったが、現在では10万年前あたりから漸進的に発達していったという説のほうが有力らしい。
個人的には10万年前から始まった現代的行動は6~4万年前に"爆発"した(この件に関しては記事「ホモ・サピエンス:出アフリカ/文化の"爆発"」に書いた)。その理由は簡単に言えば、各地で起こっては消えていた現代的行動が、ネットワークの拡大と頻繁なコミュニケイションにより、消えることなく継承され蓄積された結果だということだ。
現代的行動と進化
私は、ホモ・サピエンスが現代的行動を身につけたのは、上に書いたようにネットワークの力であって、進化の結果ではないと思っていた。
しかし、脳がホモ・サピエンスの種内の中で斬新的に拡大していったという論文が発表されて、進化と現代的行動は何らかの関係があるかもしれないと思うようになった。
脳の斬新的な拡大に関する論文は以下のものだ。
http://dx.doi.org/10.1126/sciadv.aao5961
これについては、「雑記帳」というブログの記事「現生人類の脳の形状の進化」で解説が書いてある(私はこのブログを見てこの件を知った*2 )。
「人間の脳の形状に起こった比較的最近の変化が人類を大きく発展させた<Gigazine」にはマックス・プランク研究所の研究成果をまとめたyoutube動画が貼りつけられている。
ただし、この論文には脳と現代的行動の関係については書いていないらしい。
*2:数少ない日頃読んでいるブログ