先王朝時代
先王朝時代(エジプト先王朝時代)とはエジプト文明の基層となる文化の形成期のこと。
「エジプト文明の基層となる文化」とはナカダ文化のことで、この時代の中心はナカダ文化の発展と拡大となる。
ただし、ナカダ文化の先行文化とされるバダリ文化も先王朝時代に入る。
この時代の年代と登場する文化
ナカダ文化以外の文化だと同時代のマアディ・ブト文化、先行文化のバダリ文化。これは馬場氏の本による*1。各文化は別の記事で書く。
馬場氏以外の説だとバダリ文化を入れずナカダ文化から始める説と、農耕・牧畜がはじまる説つまりファイユーム文化から始める説がある。これ以外でもあるかもしれないが省略。
年代については、馬場氏の本によれば、前4400-前3000年。前4400年はバダリ文化の始まり。前3000年は王朝時代の始まり(第1王朝・初期王朝時代の始まり)。
時代区分
古代エジプト史の時代区分では以下のようになる。
- 新石器時代(?~前4400年)
- 先王朝時代(前4400~前3000)
- 初期王朝時代(前3000年~)
先王朝時代は考古学では金石併用時代から初期青銅時代。金石併用時代chalcolithicとは「人類が初めて金属として銅を発見し,石器とともにこれを利器として使用していた時期」*2。
この時代に起こったこと
- 金属加工(冶金)の出現
- 社会階層の分化
- 西アジアやヌビアなどとの交流
特に重要なことは2番目の社会階層の分化だ。新石器時代は巨石建造物などが出始めて共同作業とそれを監督するリーダーシップの登場が指摘されているが副葬品がなく、階層化もされていなかった。これが先王朝時代に階層ができて急速に発展し、末期に王が出現し、エジプトがとういつされて初期王朝時代になる。
最後に
先王朝時代より前も含めて、前五千年紀はゆっくりとしたペースで文化が変化していたが、前四千年紀は農耕・牧畜の定着を皮切りに急速に変化していった。そして千年弱の時間の中で原始時代と言われる社会から文明社会へと変わった。
次回から先王朝時代の文化を書いていこう。