歴史の世界

「中国文明」カテゴリーの主要な参考図書およびウェブサイト(西周王朝まで)

中国文明」の下限が何時までなのか知らないが、ここでは(あくまで便宜的に)西周までとする。

次からのカテゴリーは「春秋戦国時代/東周」とする。

さて、本題に入ろう。

十数年前の本ばかりだが、あまり需要がないのだろう。

いっぽう、中国の先史/古代史は現代の中国共産党政府が専門家を動員して歴史研究をさせていて、発掘も進んでいる。後述する佐藤信弥氏の『中国古代史研究の最前線』の類書がいくつも出てもいいようなものだが、売れないのだろうか。

参考文献の古さはどうしようもない。中文をGoogle翻訳してみたが、理解できなかった。日本人研究者の数年前の論文(?)が幾つかPDFでアップされているのは有難かった。

世界歴史体系 中国史1 先史~後漢山川出版社/2003

中国史〈1〉先史~後漢 (世界歴史大系)

中国史〈1〉先史~後漢 (世界歴史大系)

一貫して利用できた参考図書。

有名な研究者が書いているので安心できる。

中国の考古学/同成社/1999

中国の考古学 (世界の考古学)

中国の考古学 (世界の考古学)

土器の話が多め。考古学なので当たり前だが。

土器の話だけでは眠くなってしまう私のような人は、別の参考図書と読み比べて理解するのが吉。

参考にはなると思う。

宮本一夫/中国の歴史01 神話から歴史へ(神話時代・夏王朝)/講談社/2005

神話から歴史へ(神話時代 夏王朝)

神話から歴史へ(神話時代 夏王朝)

先史の本なのに土器の話を延々とするような本ではなくて本当に助かった。

ちょっとマルクス史観(?)ぽい記述があったが、そこらへんはスルーした(つもり。だいたいマルクス史観自体がよくわかっていない)。

落合淳思/殷/中公新書/2015

殷 - 中国史最古の王朝 (中公新書)

殷 - 中国史最古の王朝 (中公新書)

上の参考図書たちと比べるとかなり新しい本。

甲骨文字の資料を中心にして、『史記』のような伝世文献を批判的に扱って歴史を組み立てる方法をとっている。

著者独自の見解もあるので、素人として彼の説明を信じて良いものかどうか迷うところだが、とりあえず自分のカンと理解力で判断するしかない。

伝世文献よりは同時代資料である甲骨文字のほうが信頼が置けると思うので、必読の書だとは思う。

佐藤信弥/周/中公新書/2016

上の本が甲骨文字ならこちらは「金文」。ただし、伝世資料の信頼性が殷代よりも上がっているようで、より詳しい歴史が描かれている。

個人的に納得いかない部分があったので、他の参考図書やネット上のPDF文献で補った。

上の落合氏の紹介でこの本ができたらしい。

谷秀樹/西周代陝東戦略考(pdf

魅力的な文献だが、佐藤氏の本をベースに歴史の流れを書いていたため、この文献の利用は少ない。

谷氏の西周に関する本が出たら読んでみたい。

佐藤信弥/中国古代史研究の最前線/星海社新書/2018

去年出たばかりの「新」書。

中国の古代研究を紹介することが主目的の本だが、中国の研究が伝世文献をバイブルのように信じ込んでいる癖があることをふまえて書いているので、信頼していいと思う。