奥山真司氏によれば *1、 18世紀末から19世紀初頭にかけてマハン(アメリカ)がランドパワーとシーパワーの概念を提唱し、マッキンダー(イギリス)がハートランドという概念を提唱した。 そして第二次大戦の時期にスパイクマン(アメリカ)によってリムランドが提唱され、地政学の基礎が完成・体系化されていった。
ランドパワーとシーパワー
ランドパワー/シーパワーという用語を始めに使ったのはアメリカ海軍の軍人・戦略研究者のアルフレッド・セイヤー・マハン(1840年-1914)。
ランドパワー・シーパワーの説明。奥山真司『サクッとわかる ビジネス教養 地政学』(新星出版社/2020/p23)によると、
ランドパワーとは、ユーラシア大陸の内陸の国々(勢力)。代表例はロシア・中国。利益(資源・交通など)を内陸に求める。陸軍が強い。
シーパワーとは、ユーラシア大陸の周辺部あるいはその周りの島々の国々。つまり海洋に面した国々。代表例はアメリカ・イギリス・日本。利益を海洋に求める。海軍が強い。
ただし、学者や時代によって「国々」の構成が変化する。現在は上記の構成だが、一次/二次大戦の時期はランドパワーの代表としてドイツが挙げられる。未来はインドが大国となると目されているのだが、どちらになるのだろうか(普通に考えればシーパワーだが)。
- 「pivot area」≒ランドパワー
- 「 Inner or marginal crescent」+「Lands of outer or insular crescent」≒シーパワー
地政学では、アメリカ大陸やオーストラリア大陸は「島」で、ヨーロッパ大陸は「半島」として扱われる。だから米・豪・西欧はシーパワーとなる。
この対となる用語(概念)で重要なことは2点。
ランドパワーとシーパワーの違いは以下の記事で書いたので参照のこと。
簡単に書くと、
決定的に違う両者は水と油の関係で、一つになる(両立する)ことができない。せいぜいその境界に位置する勢力(緩衝地帯、例えば東欧)がどちらかに変わるくらいなものだ。
地政学の両者の見方は、決定的な違いを背景に闘争する運命にあり、歴史がそれを証明し、これからの未来も闘争し続けるだろう、というものだ。
続き(ハートランドとリムランドについて)は次回書く。