歴史の世界

【中国人論・中国論】平等思想が無いか希薄 ―人間関係から外交の話。

【中国人論・中国論】のカテゴリーの中で中国人社会の人間関係について書いてきた。

「法治」が通用しない弱肉強食の中国社会では、人間関係が全てだ。

平等思想が無いか希薄

人間関係には、宗族(氏族・大家族)、幇(互助組織、秘密結社)、同郷組織、同業組織、同僚、友人関係など、さまざまだが、共通することは、内輪と外を峻別することだ。例えば、内輪の人間を騙すことはめったにしないが、外の人間を騙すことに関しては倫理道徳が働かない。

さらに、内輪の中でも上下関係が発生する。上下関係があるのは当たり前のことと思うかもしれないが、中国人社会では内輪の中で暗黙の序列ができるらしい。 面子に関する記事で紹介したが、序列を上げるために食事会で太っ腹なところを見せたり、序列を下げないために人前で叱責されることを極端に嫌がる。そして序列が上がれば下の者を利用することができる。

そういうわけで、中国人は平等とか対等ということに対する姿勢は日本や欧米とは全く違う。平等思想が無いか希薄だと思っておいたほうがいい。

覇権を握ろうとする中国

第二次大戦後、内戦と政治的失敗で低迷していた共産党中国だったが、鄧小平の経済開放路線が徐々に実を結び始め、海外からの強力もあって経済発展を遂げ、現在では世界第2位の経済大国にまでなった。

中国の経済発展を支えた海外の思惑はどのようなものだったか。日本は戦前の賠償金の代わりとして中国を援助していたが、欧米はどのような思惑があったのか。

欧米は中国が民主化すると思っていた。経済発展すれば自ずと民主化するだろうと楽観視していた。日本もそうだったかもしれない。

しかし、現在の中国を見て、世界各国はそのような思惑が見当違いだったことを知った。

民主化どころか独裁化が進み、中国社会はハイテクを駆使した『1984』の世界になりつつある。今や14億人が被検者となる壮大な実験場だ。

上の動画の中では「アメリカは、なぜいつも中国を見誤るのか?」が秀逸で、アメリカは太平天国の乱(1851年)のころにすでに見誤っていて、戦前は宋美齢蒋介石の嫁)に騙されていた、という。

さらに同動画では、ラルフ・タウンゼント著『暗黒大陸 中国の真実』を紹介している。

暗黒大陸 中国の真実

暗黒大陸 中国の真実

  • 作者: ラルフタウンゼント,Ralph Townsend,田中秀雄,先田賢紀智
  • 出版社/メーカー: 芙蓉書房出版
  • 発売日: 2007/09/01
  • メディア: 単行本
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私は未読だが、紹介によれば、この本の中身は、岡田英弘著『この厄介な国、中国 』や大隈重信著『日支民族性論』とかなり似ている(このブログの【中国人論・中国論】カテゴリーの参考文献)。

さらに、タウンゼント氏の本は出版当初は注目されなかった。ココらへんも上の2冊と似ている。

「対等の概念のない中国」

最後に紹介する動画。これも奥山氏の動画。

上の動画の最初で扱った事件のきっかけは以下のようなものだ。

9月30日に英保守党の大会内で同党人権委員会が主催した香港関連行事。撮影された映像には、中国中央テレビCCTV)の女性記者(48)がやじを飛ばした上、主催者側の一人に平手打ちしたとみられる様子が捉えられていた。[中略]

イベント開催を手伝っていた保守党党員のイノック・リウ(Enoch Lieu)さん(24)はAFPに対し、女性記者が講演者の一人に対し、反中的だとののしる声を上げたため、会場を退出するようイノックさんが促したところ、2回平手打ちされたと語った。[中略]

CCTV広報の談話として、この出来事は「許し難い」と述べて主催者側に謝罪を要求するとともに、英国の警察当局に「女性記者の正当な権利を保護」するよう訴えた。

出典:英保守党大会で中国国営テレビ記者排除、在英大使館が謝罪要求 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News 2018年10月2日

この委員会では、香港の人権問題について話し合われていた。要は、香港の民主主義が大陸によって壊されようとしているという話なのだが、これに中国記者が食って掛かった、という話。

この後日談がこの動画の本題。この加害者の女性が本国の中国では被害者と報道され、英雄視されている。動画がインターネットにアップされ、彼女が加害者なのは間違いないのだが、それでも中国側はこちらが被害者だと主張している。中国では、彼女が被害者である証拠の動画がフィルタリングされているのだろうか。

同様の話が二個目の事件。

スウェーデンの首都ストックホルムで、ホテル内のロビーに居座ろうとした中国人観光客の親子3人が警官によってホテルから引きずり出されて、10数キロ先の路上に放置されるという騒動があった。親子はこの模様を撮影した動画を中国のウェブサイト上で公開。中国外務省もスウェーデン政府に公式に抗議しているが、スウェーデン側は「中国人観光客が我が国の法を犯しており、警察の対応に何ら違法性はない」とコメントしている。

米政府系メディア「ボイス・オブ・アメリカ」がストックホルムで観光業に従事しているスウェーデン人女性に取材したところ、彼女は「この10年来、中国人観光客のマナーのひどさや非常識さが、スウェーデンばかりか欧州諸国全体でも問題になっており、今回の騒動も、その延長線上あるのではないか」と指摘している。

親子3人は宿泊予約よりもほぼ1日早い9月2日未明、空港からホテルに到着。ホテルは満室でチェックインできなかった。3人はそのままホテルに居座り、ロビーで一夜を明かそうとした。

このため、ホテルのフロントの係員は「他の客の迷惑になる」などとして、警察に連絡。警察官はごねて座り込み泣き叫ぶなどする親子の両手両足を持って、ホテルの外に引きずり出した。

出典:中国人、スウェーデンでホテルを追い出され外交問題に│NEWSポストセブン 2018.09.26

この事件でも迷惑を撒き散らした中国人が本国では被害者として同情されている。

このような中国人たちの海外の振る舞いをみて、動画の解説者の結論は「対等の概念のない中国」。中国は他の外国より優れているので、中国人以外の人間が中国人の言うことにしたがって当然だ、と中国人が思い始めている。

国内で上のような調子で、加害者を被害者のように報道してしまっているから、国家が国民の海外での悪行を助長してしまっている形になっている。

戦前の日本は暴支膺懲などと言って奢っていた、と歴史で習うかもしれないが、これはちゃんと憤慨する理由があるのだ。

これに対して、これらの中国の振る舞いは理由がないどころの話ではない。

いよいよ世界が中国の正体に気づき始めた。

先日、竹田恒泰がある番組で言っていたことを思い出す。

彼が言うには、中国は覇権を握ってから正体を表せばよかったのに、その直前で正体を表してしまった。まるで因幡の白うさぎだ。

下の動画で同じようなことを言っていたので紹介。

【古事記の窓】習近平と因幡の白兎|竹田恒泰チャンネル2 - YouTube