歴史の世界

春秋戦国時代/東周

兵家(12)孫子(まとめ)

この記事で『孫子』は最後。まとめる。 著者は呉の将軍、孫武 『孫子』が著された背景 『孫子』の内容 孫臏兵法 まず、『孫臏(そんびん)兵法』と『孫子』の関係から。 『孫臏兵法』 著者は呉の将軍、孫武 古代より『孫子』の著者が誰であるか議論されてき…

兵家(11)孫子(君主は開戦について慎重にすべし、戦略的成功を常に心がけるべき)

諸子百家 (図解雑学)作者: 浅野裕一出版社/メーカー: ナツメ社発売日: 2007/04/24メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 8回この商品を含むブログを見る 開戦には慎重を期すべし 君主は戦略的成功を常に心がけるべき 開戦には慎重を期すべし 浅野裕一…

兵家(10)孫子(戦略書としての『孫子』 後篇/全3篇 --道(タオ)--)

今回は道(タオ)の話。 今回もデレク・ユアン『真説 孫子』(中央公論新社/2016(原著は2014年出版))で語られるものを素人の勝手解釈で書いていく。 ユアン氏の語る『孫子』は著者である孫子(孫武)の考えを発展させたものであり、孫武が語っていないこ…

兵家(9)孫子(戦略書としての『孫子』 中篇/全3篇 --陰陽--)

今回は陰陽について書く。 真説 - 孫子 (単行本)作者: デレク・ユアン,奥山真司出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2018/02/07メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 陰陽の原義と意味の拡大 中国の戦略思想における「陰陽」 陰陽から道(タオ)へ …

兵家(8)孫子(戦略書としての『孫子』 前篇/全3篇)

今回は戦略書としての『孫子』について書く。 戦略書としての『孫子』 戦略と戦術の違い 『孫子』の全13篇と戦略と戦術 前編のまとめ 戦略書としての『孫子』 『孫子』は今でも戦略書として研究されているらしい。デレク・ユアン『真説 孫子』 *1 によれば、…

兵家(7)孫子(地域的背景:『孫子』は中国人社会の中で生まれた)

ここでは、『孫子』の地域的背景すなわち『孫子』と中国人社会の関係について書く。 中国人社会については、当ブログで「中国人論・中国論」というカテゴリーがあるので参考になるかもしれない。 相手(敵)を如何に貶めるか 彼を知り己れを知れば、百戦危う…

兵家(6)孫子(他者・他書との比較 -- 対マキャベリ『君主論』篇)

記事タイトルどおり、他者(他書)との比較について書く。 今回はマキャベリ『君主論』。 ソース 「信玄→『孫子』」、「信長→『君主論』」 両書の比較 信玄 vs 信長 『君主論』と比較して浮かび上がる「孫子の盲点」 ソース 『孫子』を『君主論』と比較しよ…

兵家(5)孫子(他者・他書との比較 -- 対クラウゼヴィッツ『戦争論』篇)

記事タイトルどおり、他者(他書)との比較について書く。 他と比べて、『孫子』がどのようなものなのか、イメージだけでも分かればいいかと思って書いてみた。 戦争論〈上〉 (中公文庫)作者: カール・フォンクラウゼヴィッツ,Carl von Clausewitz,清水多吉…

兵家(4)孫子(春秋時代末期から戦国時代の戦争へ)

まだ時代背景は続く。 しかし今回はいよいよ『孫子』の著者の孫武の登場。 春秋末期。孫武の戦争 戦国時代の戦争 おまけ:あぶみの話 春秋末期。孫武の戦争 春秋末期。中原の社会秩序は凝り固まったまま崩れていく過程にあった。 この時代に、孔子は新しい秩…

兵家(3)孫子(春秋時代後期の戦争)

今回も時代背景の話。 戦争そのものの変化 「将軍」職の発生 戦争そのものの変化 新しい戦い方は、春秋時代後半に次第に広まってきた。ただしその原因や結果は、戦争の規模が拡大したことにあるのかは明確には言えない。いずれにせよ、当時の国々が行った改…

兵家(1)孫子(『孫子』は誰が書いたか)

これから『孫子』に入る。まずは著者と著作について。 兵法書『孫子』は誰が書いたか かつて著者について論争があった 現代に伝わる『孫子』までの変遷 兵法書『孫子』は誰が書いたか 『孫子』の「子」は先生というくらいの意味で、『孫子』の著者は孫氏であ…

春秋戦国:戦国時代⑰ 諸子百家 その9 墨家(2)思想実践、墨家の歴史

前回は墨家の基本思想について書いたが、今回は墨家の歴史について。 墨家は思想よりも歴史のほうが重要なのかもしれない。 創始者、墨子=墨翟 墨子の活動 二代目・禽滑釐と「質的変化」 三代目・孟勝 戦国中期~末期 墨家消滅 以下は浅野裕一著『雑学図解 …

春秋戦国:戦国時代⑯ 諸子百家 その8 墨家(1)基本思想

墨家の基本的な思想は「十論」と呼ばれる十個の主張からなっているが、その中でも有名な「兼愛」と「非攻」を先に書いていこう。その後に「十論」。 兼愛 非攻 基本思想(墨家十論) 兼愛 兼愛説【けんあいせつ】 中国,戦国時代の前4世紀の思想家墨子(ぼく…

春秋戦国:戦国時代⑮ 諸子百家 その7 儒家(6)荀子

今回は荀子について。 荀子は、彼の語る「性悪説」と、韓非子や李斯(始皇帝の丞相)の師匠として有名だ。 荀子は趙の人、前4世紀末つまり戦国末期の人。「稷下の学」で有名な斉の学堂で祭酒(学長職)を努めたほどの人物だ。 後年は楚の蘭陵に移り、その長…

春秋戦国:戦国時代⑬ 諸子百家 その5 儒家(4)孟子(王道思想)

前回からの続きで今回も孟子について。 王道政治 王道と覇道について。 孟子は古今の君主を「王者」と「覇者」とに、そして政道を「王道」と「覇道」とに弁別し、前者が後者よりも優れていると説いた。 孟子によれば、覇者とは武力によって借り物の仁政を行…

春秋戦国:戦国時代⑫ 諸子百家 その4 儒家(3)孟子(性善説/四端説/五倫)

前回からの続きで今回も孟子について。 性善説 四端説 五倫 性善説 孟子と言えば性善説。 その名の通り、人間は生まれながらにして善であるという思想(性善説)である。 当時、墨家の告子は、人の性には善もなく不善もなく、そのため文王や武王のような明君…

春秋戦国:戦国時代⑪ 諸子百家 その3 儒家(2)孟子(仁義について)

今回は儒家の話をしようと思ったが、孟子について書くことが多くなってしまったので記事を数回に分けて書くことにする。 孟子その人について 仁義について 仁について 義について 仁義について 孟子その人について 孟子(前372?-289年)は戦国前期、小国の鄒…

春秋戦国:戦国時代⑩ 諸子百家 その2 儒家(1)孔子の死後の状況

儒教や孔子については以前に書いたので *1 、ここでは戦国時代の儒家について書く。 孔子の死後の弟子たちの動向 先進派と後進派 精神科学派と社会科学派 孔子の死後の弟子たちの動向 弟子たち及びそれらの弟子の系統は幾つかの派閥に分かれているが、ここで…

春秋戦国:戦国時代⑧ 邑制国家から領域国家へ/遊牧民の登場

記事タイトルの通り、邑制国家から領域国家へという話と遊牧民の登場について書く。 前4世紀末の状況 邑制国家から領域国家へ 邑制国家のおさらいと殷周の邑制国家 領域国家のおさらいと戦国時代の領域国家 遊牧民の登場 出典:戦国時代 (中国) - Wikipedia…

春秋戦国:戦国時代⑥ 中期 斉・秦の二強時代 秦編

前回に引き続き、斉・秦の二強時代の時代。今回は秦。 秦という国について 「春秋秦」から「戦国秦」への変貌/商鞅の変法 巴蜀合併と対楚戦勝利 白起の登場/昭襄王、西帝を自称する 秦という国について 春秋時代の秦については以前すこし書いた(春秋時代⑤…

春秋戦国:戦国時代⑤ 中期 斉・秦の二強時代 斉編

魏の覇権が衰えると、次に目立ったのは斉と秦の2国だった。 秦のことは別の記事で書くこととし、ここでは斉について書く。 (中期と言っても、私が勝手に区分しているだけなので、参考程度に) 田斉:斉の下剋上 春秋時代に斉の桓公は覇者にまでなったが、…

春秋戦国:戦国時代④ 称王/遷都/社会の発達

これから戦国時代における称王/遷都/社会の発達について書く。 諸侯の称王 三晋の遷都 経済状況と富国強兵策 山林藪沢について 「小農民の析出が本格化」 鉄製農具や牛耕の普及 まとめ 諸侯の称王 称王とは王を称すること。これまで中原の諸侯は形式的に周…

春秋戦国:戦国時代③ 前期 最大の勢力は魏

さて、それでは戦国時代の中身の話に入っていこう。ちなみに前期(前5世紀中葉~前4世紀中葉)といっても私が勝手に時代区分したものなので、参考程度に。(記事「時代区分」 参照) 以下の歴史は、『中国史 上』(昭和堂/2016)の吉本道雅氏の執筆部分に…

春秋戦国:戦国時代② 晋の分裂、戦国時代のはじまり

戦国時代のはじまり、それは晋の分裂から始まった。 晋の分裂の重大性 分裂までのあらすじ 晋の分裂の重大性 春秋時代と戦国時代の画期は晋の分裂とされる。なぜ晋の分裂がそれほど重要なのかは、前回も触れたが、晋国が中原*1の覇権を握っていたからだ(春…

春秋戦国:戦国時代① 戦国時代の特徴/時代区分

これから戦国時代へ入る。 春秋時代と戦国時代の性質の違い その他の戦国時代の特徴 時代区分 前期(前5世紀中葉~前4世紀中葉):最大の勢力は魏 中期(前4世紀中葉~前3世紀前期):斉・秦の2強の時代 後期(前3世紀前期~前3世紀後期):秦の一強…

春秋戦国:春秋時代⑭ 孔子の登場 その6 徳治/孔子のルネサンス

徳治 「徳治(徳治政治、徳治主義)」とは、「道徳を以って政治をする」とか「徳のある人が政治をする」とかいう意味の言葉。 孔子の言葉として以下のようなものがある。 人民を導くのに法制をもってし、人民を統治するのに刑罰をもってすれば、人民は法律の…

春秋戦国:春秋時代⑬ 孔子の登場 その5 「天」と「仁」/孔子の登場 まとめ

前回に引き続き、儒教における重要な要素を書いていく。 今回は「天」と「仁」。 「天」は孔子が儒教を作った時の重要な要素の一つ。 「仁」は儒教の最高の徳目と言われている。 「天」 「仁」 「孝弟なる者は、其れ仁の本為るか」(『論語』学而篇) 「仁」…

春秋戦国:春秋時代⑫ 孔子の登場 その4 「礼」と「孝」

儒教にとって、最重要の礼と孝を説明してみる。 「礼」とは何か 「礼」は孔子と儒家が創作した 「孝」:儒教における最重要な要素 礼と孝 礼と形式主義 「礼」とは何か 『礼記(らいき)』は中国古代王朝・周の礼の規定とその精神を雑記した書物で、49篇から…

春秋戦国:春秋時代⑪ 孔子の登場 その3 「儒」の起源

wikipediaから引用。 儒(じゅ)の起源については、胡適が「殷の遺民で礼を教える士」として以来、様々な説がなされてきたが、近年は冠婚葬祭、特に葬送儀礼を専門とした集団であったとするのが一般化してきている。 東洋学者の白川静は、紀元前、アジア一帯…

春秋戦国:春秋時代⑩ 孔子の登場 その2 孔子の人生について

孔子の人生については『史記』の孔子世家に書かれている。「孔子#生涯 - Wikipedia」は基本的に孔子世家をベースに詳述している。 世家は諸侯クラスの家柄の人物伝が書かれているカテゴリーなので、孔子がこのカテゴリーに入れられていることは司馬遷がそれ…