歴史の世界

人類の進化:霊長類と類人猿と人類の関係

この記事では、あらためて霊長類と類人猿と人類の関係について書く。

霊長類

霊長目(れいちょうもく、Primates)は、哺乳綱に含まれる目。サル目(サルもく)とも呼ばれる[4]。キツネザル類、オナガザル類、類人猿、ヒトなどによって構成され、約220種が現生する。

生物学的には、ヒトはサル目の一員であり、霊長類(=サル類)の1種にほかならないが、一般的には、サル目からヒトを除いた総称を「サル」とする。

分布

(以下の記述はヒトを除いたサル目の種に関するものである)

熱帯系の動物であり、その分布は熱帯域に集中する。東アジアには温帯域まで分布する種があり、特にニホンザルは最も高緯度に分布するサルとして有名である。[中略]

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形態

体重100g以下のコビトガラゴGalagoides demidoviiから、200kgを超すゴリラまで、多様な種が属している。

サル目は、哺乳類としては比較的基本的な体制を維持している。爪や歯などには大きな特殊化は起こっていない。その中で、サル類を特徴づけるのは、以下のような点である。

  • 5本の指をもち、親指が他の4本と多少とも対向しているため、物をつかむことができる。
  • 前肢と後肢の指の爪は、ヒトを含めた狭鼻下目のすべての種ではすべての指の爪が平爪である。曲鼻亜目と広鼻猿類の一部では平爪のほかに鉤爪をそなえる種もある。
  • 両目が顔の正面に位置しており、遠近感をとらえる能力に優れている。

これらの特徴は、樹上生活において、正確に枝から枝に飛び移るために不可欠な能力である。多くの樹上性の哺乳類では、鉤爪を引っかけて木登りをするが、サル類の平爪はこれをあきらめ、代わりに指で捕まるか引っかかるかする方向を選んだものである。また、それが指先の器用さにもつながっている。[中略]

  • 頭部の前方に眼が並び、その面がやや平らになって顔面を形成する。往々にしてこの部分には毛がなく、皮膚が露出する。
  • 大脳がよく発達する。

そして個体間で表情や声によって互いに情報交換をするものが多い。[中略]

進化

霊長類の最古の化石は、白亜紀末期の北アメリカ西部から発見されており、プレシアダピス類(偽霊長類)と呼ばれる。このように、霊長類の進化は約6,500万年前、白亜紀末期頃に始まったと考えられている

出典:サル目<wikipedia

霊長類はサルの総称と思えばいい。

類人猿

類人猿(るいじんえん、ape)は、ヒトに似た形態を持つ大型と中型の霊長類を指す通称名。ヒトの類縁であり、高度な知能を有し、社会的生活を営んでいる。類人猿は生物学的な分類名称ではないが、便利なので霊長類学などで使われている。一般的には、人類以外のヒト上科に属する種を指すが、分岐分類学を受け入れている生物学者が類人猿(エイプ)と言った場合、ヒトを含める場合がある。ヒトを含める場合、類人猿はヒト上科(ホミノイド)に相当する

出典:類人猿<wikipedia(文字修飾は引用者)


ヒト上科 (Hominoidea) は、ヒトの仲間と大型類人猿をくくるサル目(霊長目)の分類群である。ヒト上科にはヒト科(ヒト科 :ヒト、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンが含まれる)とテナガザル科が含まれる。[中略]

狭鼻下目であるヒト上科がオナガザル上科から分岐したのは、2800万年から2400万年前頃であると推定されている

出典:ヒト上科<wikipedia(文字修飾は引用者)

霊長類(霊長目=サル目)以下の分類について

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出典:サル目<wikipedia(下の図は上の図の一部を拡大したもの)*1

上の図でヒト亜族が人類に当たる。人類は「あるヒト族に属する動物」から分岐した。

ここで注目すべきは人類はチンパンジーから分岐したのではなく、「あるヒト族に属する動物」から分岐したと考えられている。さらに言えばチンパンジーもこの動物から分岐したと考えられている。

「あるヒト族に属する動物」は人類とチンパンジーの最も近い共通祖先(last common ancestor 、LCA)と言われているが、この動物が何なのかは今のところわかっていない。気候の変化に適応できなかったか生存競争に負けたかで絶滅したのだろう。

分岐の年代

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図1 ヒトと現生類人猿の系統関係と遺伝子の比較から推定される分岐年代

核のゲノムの比較、ミトコンドリアにあるDNAの比較、そしてタンパク質のアミノ酸配列の比較からヒトと類人猿の系統関係が推定されている。これらは主にゲノムに生じる違いがもたらされる時間を確率的に計算したもの(分子時計)で年代の特定はある程度の誤差を含まざるを得ない。しかし、類縁関係の遠近は確かなものである。それによるとヒトはチンパンジーともっとも近く、ついでゴリラ、オランウータン、テナガザルの順である。それらの共通の祖先が分かれたのは、チンパンジーとはおよそ600万年前、ゴリラとはおよそ800万年前、オランウータンとはおよそ1300万年前、テナガザルとはおよそ1800万年前というものである(図1)。この系統関係は多くの支持を得ているが、分岐年代については最終確定されているわけではない。

出典:臼田秀明/知は地球を救う 2.人類の進化700万年―予断に捉われないことの難しさ―/帝京大学文学部教育学科紀要34(pdf)/2009年3月/p116-117(12-13/40) 

類人猿(ヒト亜科)の分岐が2800万年から2400万年前頃、霊長類の進化は約6,500万年前と考えられている(上述)。

原郷(原産地)と拡散

  • 「霊長類の最古の化石は、白亜紀末期の北アメリカ西部から発見されて」いる(上述)。

  • 類人猿(ヒト上科)の原郷はアフリカ。1650万年前頃、寒冷化のため、陸続きだったユーラシア大陸に拡散した。(臼田氏/p116-117(12-13/40) )

  • 人類(ヒト亜族)の誕生は700万年前頃とされている。トゥーマイ猿人(サヘラントロプス・チャデンシス)の化石がアフリカ大陸中央部のチャドで発見され、700万年前のものとされている。

  • その他の分岐の原郷はよく分かっていない。

人類と類人猿の共通祖先はアフリカ起源か?

2017年8月9日、前1300万年前頃の類人猿の頭蓋骨化石がケニア・トゥルカナで発見された、とNatureで発表された(進化学: 類人猿の祖先の進化/Nature 548, 7666/2017年8月10日)。

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出典:古代類人猿の頭蓋骨の化石が見つかったけれど.../GIZMODO/2017.08.16(著作者:Christopher Kiarie)

頭蓋骨はレモンほどの大きさで歯のの構造から約16ヶ月で亡くなったと推定されている。

前述のNatureの記事によれば、アフリカでは、1400万~1000万年前のヒト族および現生類人猿の直接的な近縁種の頭蓋骨の標本は1つも知られていなかったが、この標本は1300万年前のもので、ニャンザピテクス属(Nyanzapithecus)の新種とされた。また、「この新種が現生類人猿の共通祖先の近縁種であることが示された」としている。

AFPの記事*2によれば、研究チームのリーダーであるストーニーブルック大のアイザイア・ネンゴ(Isaiah Nengo)氏は、「今回の結果により、ヒト上科動物のルーツをアフリカによりしっかりと定着させることができる」と述べた。一部では類人猿と人類の祖先が住んでいたのはアジアだと推測されているらしい。