歴史の世界

先史:ホモ・サピエンスの誕生

ホモ・サピエンスとは現生人類、つまり現代に生きる人間のことである。生物としてのホモ・サピエンスがいつ生まれ、どのように発展していったのか。

ホモ・サピエンスの誕生(起源)

ホモ・サピエンスの誕生(起源)には諸説あるらしいが、東アフリカで約20万年前(またはそれ以前)に誕生したというのが有力な答えだ。

現生人類すべての起源が東アフリカにあるという説は科学界においてほぼ合意に近い状態になっている[7][8][9][10][11]。[中略]

現生人類の最も古いおよそ195,000年前の化石がエチオピアのオモ遺跡(英語版)から発見されており、分子生物学の研究結果からすべての現生人類がおよそ20万年前のアフリカ人祖先集団に由来するとした証拠が示されている[17][18][19][20][21]。

出典:ホモ・サピエンスwikipedia(注釈の7~11、17~21は出典先参照)

オモ遺跡の場所↓

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出典:オモ川下流域<wikipedia*1

人類の進化の系統樹

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出典:人類の進化<wikipedia*2

・上の図の点線の意味は不明だが、おそらくフローレス人(ホモ・フローレシエンシス)とデニソワ人のことを表していると思われる(ホモ・フローレシエンシスについては「ホモ・フローレシエンシス<wikipedia」、デニソワ人につては「デニソワ<wikipedia」参照)。

ミトコンドリア・イヴ

ミトコンドリア・イブ(Mitochondrial Eve)とは、人類の進化に関する学説において、現生人類の最も近い共通女系祖先(the matrilineal most recent common ancestor)に対し名付けられた愛称。約16±4万年前にアフリカに生存していたと推定され、アフリカ単一起源説を支持する有力な証拠の一つである。

しばしば誤解を受けるが、彼女は「同世代で唯一、現生人類に対し子孫を残すことができた女性」ではない。母方以外の系図を辿れば、彼女以外の同世代の女性に行き着くことも可能である。

出典:ミトコンドリア・イヴ<wikipedia

私の「ミトコンドリア・イヴ(イブ)」の最初の理解は「ホモ・サピエンスを最初に産んだ母親」だった。しかしそれは間違いだった。

ミトコンドリア・イヴは]「すべての人類の母」というイメージを持たれがちなのだが、それは明確に間違えだ。その女性の同時代には、ほかの男女も生きており、その中には我々の先祖となった人もたくさんいると考えられる。たまたまある女性が持っていたミトコンドリアが、今のすべての人類が持っているミトコンドリアの起源になった、という不思議は充分驚嘆に値するのだけれど、その時にその女性が一人きりで暮らしていたわけではない。あくまで、我々の祖先の一つになった集団に属していた、という理解が正しい。

[篠田謙一氏]「ミトコンドリア・イヴを包含する集団は、数千人くらいの規模だったと思います。祖先を辿ったら、1人の女性に行き着くというわけでは決してなく、1つの遺伝子を交配しているグループに行き着くくらいのイメージでとらえたほうがいいんです。1人の女性に行き着くという言葉の響きは、非常によくないと思っています」

ちなみに、ミトコンドリアの変異をまるで動物の系統樹のように考えて分析していくと、15万年から20万年前の「ミトコンドリア・イヴ集団」はまだアフリカにいた可能性が高い。

出典:第5回 ヒトの進化はアフリカ限定だった!<ナショナルジオグラフィック 日本版

まあ、ノアの箱舟の物語を思い出せばいいのではないか。

絶滅の危機:トバ火山大噴火

もっとも、前述の「[ミトコンドリア・]イブ」は、ただ一人の母親というわけではない。むしろ一万人ほどの個体群といっても差支えないのだが、東アフリカの地溝での淘汰に勝ち残ったのだ。このタイプの人間はそれ以前のヒト科の動物より頑健だった。ただし、それ以前にアフリカの地を去ったネアンデルタール人はおそらく例外で、彼らもホモ・サピエンスに属するのだが、ヨーロッパで屈強な大型獣狩猟者として氷期の生活条件に完全に順応していた。

今日の人間すべてが一人の母を始祖とする理由としてここ数年考えられているのは、ある種の大災害が太古にあり、それ以前のヒト属の種の大部分がその犠牲になったことである。ホモ・サピエンス・サピエンスはこの大災害でわずか数千の個体にまで数が減り、それに伴い遺伝子プール(遺伝子供給源)は乏しくなり、集中して一つの進化の方向へと向かうことになる。マイケル・R・ランピーノ(ニューヨーク大学)のような地質学者やスタンレー・H・アンブローズ(イリノイ大学)のような人類学者は、その理由として火山の巨大噴火を考えている。およそ七万五千年前のスマトラ島インドネシア)北部のトバ火山の噴火である。この噴火によって成層圏に放出された火山灰とエアゾルの量はおびただしく、そのまま何年間も雲となってとどまった。この噴火の証拠は今日、世界各地の氷床コアや土壌堆積物に見ることができる。

成層圏の火山灰とエアゾルが原因で急激な冷却減少が起き、局地的には15℃、世界的にはおよそ5℃の気温低下が数年間続いた。「火山の冬」は植物の生育を阻み、その結果、陸と海の食物連鎖も損なわれた。熱帯の植生は広範に破壊され、温暖な気候帯の森林も損なわれたに違いない。生き延びた植物も甚大な被害を受け、回復するまでには何十年物時を要した。これで、ホモ・サピエンス・サピエンスの歴史の初期に、種の個体数が絶滅寸前にまで激減した理由の説明がつく。

出典:ヴォルフガング・ベーリンガー/気候の文化史 ~氷期から地球温暖化まで~/丸善プラネット/2014(原著は2010年にドイツで出版)/p44-45

火山の話をもう一つ↓

いまから7万-7万5000年前に、トバ火山が火山爆発指数でカテゴリー8の大規模な噴火を起こした。この噴火で放出されたエネルギーはTNT火薬1ギガトン分、1980年のセント・ヘレンズ山の噴火のおよそ3000倍の規模に相当する。この噴火の規模は過去10万年の間で最大であった。噴出物の容量は1,000 km3を超えたという(参考として、8万年前の阿蘇山火砕流堆積物の堆積は600km3であった)。

トバ・カタストロフ理論によれば、大気中に巻き上げられた大量の火山灰が日光を遮断し、地球の気温は平均5℃も低下したという。劇的な寒冷化はおよそ6000年間続いたとされる。その後も気候は断続的に寒冷化するようになり、地球はヴュルム氷期へと突入する。この時期まで生存していたホモ属の傍系の種(ホモ・エルガステル、ホモ・エレクトゥスなど)は絶滅した。トバ事変の後まで生き残ったホモ属はネアンデルタール人とヒトのみである(ネアンデルタール人と姉妹関係にあたる系統であるデニソワ人がアジアでは生き残っていたことが、近年確認されている)[3]。現世人類も、トバ事変の気候変動によって総人口が1万人にまで激減したという。

出典:トバ・カタストロフ理論<wikipedia



先史シリーズは先史カテゴリーに保管される。

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