歴史の世界

エジプト文明:古王国時代⑦ ピラミッド史の流れ その2 ギザの三大ピラミッド 前編

今回はギザの三大ピラミッドについて書く。

ギザの三大ピラミッド/「真性ピラミッド」

私たちがイメージするピラミッドは側面が平らかな正四角錐のものだ。その代表がギザの三大ピラミッドと呼ばれる3つのピラミッドだが、これらは「真性ピラミッド」と呼ばれる。これは単に正四角錐というだけでなく、傾斜角度が約52℃付近と決められている。

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出典:馬場匡浩/古代エジプトを学ぶ/六一書房/2017/p101

これらのピラミッドは第4王朝の間に建造された。古代エジプトの歴史を通して最大(クフ王のものが最大。高さ146.6m、底辺の長さは約230m*1 )。

前回に書いたように、第4王朝初代スネフェル王が試行錯誤したおかげで、巨大建築技術が飛躍的に向上した。

3つのピラミッドは、化粧石は後世に剥がされているものの、現在もその壮大な姿は良好な形で遺り、当時の建築技術の高さを伝えている。

ピラミッドの石材

ピラミッドに使われた石材は、主に周囲の採石場石灰岩(薄茶色)を切り出して使用した。石材の大きさはまちまちだが1個の重さは平均2.5トン*2。上層に積み上げられたモノは下のモノに比べて小さくなっている。

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クフ王ピラミッドの石材

出典:馬場氏/p217

外装の白い化粧石(これも石灰岩)は東岸のトゥーラ(トゥラ)から船を使って運ばせた。

クフ王の「王の間」と呼ばれる玄室に使用されている石材は花崗岩。これは1000kmも離れるアスワンから船で運ばれた。石灰岩よりも硬く重いので、よりコストがかかった。メンカウラーのピラミッドの下層は花崗岩が使用されている。

『メレルの日誌』について

10月3日(土)19:00〜19:45にEテレで「地球ドラマチック 大ピラミッド建設の秘密 4600年前の日誌は語る」が放送されました。丁度河江肖剰著『ピラミッド・タウンを発掘する』(新潮社、2015年)を読み始めたところで、タイムリーだったので、録画して見ました。

2013年3月に紅海沿岸のワディ・アル・ジャルフでヒエラティックで記された最古のパピルスが発見されました。何百にも及ぶ破片になっていますが、保存状態は良好です。パリ第四大学のピエール・タレ氏が解読したところ、4600年前にメレルという人物が書いた日誌であることが分かりました。彼は石の運搬を担当した労働者たちのリーダーで、パピルスにはギザの大ピラミッド建設に関わる出来事が記されていました。この日誌が貴重なのは、人々が大ピラミッド建設の現場でどのような仕事をしていたのか知ることが分かるという点です。

出典:MyNotebook-20_西村洋子の雑記帳(20)

上記は番組の備忘録(?)。

メレルは上記のトゥールの化粧石が船で運ばれていることが書かれていた。

さらに採石に必要なノミやツルハシを作る銅の運搬についても書かれている。銅はシナイ半島から運ばれていた。銅は青銅や鉄よりも「やわらかく」、耐久性が悪いので大量の銅が必要だった。

考古学者マーク・レーナー氏は『メレルの日誌』に書いてある「クフの港」が、長さ1kmにもなる大きな国際港であったと推測する。つまり、ピラミッドに必要な材料だけでなく、「東地中海沿岸」産のオリーブオイルなどが輸入されていたことが証拠だとする。

しかし、レーナー氏が目星をつけた場所は現在は住宅地で、発掘は不可能だとのこと。

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出典:ピラミッドはナイル川の力と大規模な土木工事によって造られたことが現場監督の日記に記録されていた - GIGAZINE

  • 上は海外の番組のキャプチャ画像。おそらくレーナー氏の主張をもとに作成されたものだろう。

港がピラミッド建造現場のすぐそばにある。

建造期間について

上の番組の他に、TBSの「世界ふしぎ発見!」 で『エジプト 大ピラミッド 最古の日誌が明かす建造の謎』(2018年5月5日)で同じような内容が放送されたそうだ。全く知らなかった!

メレルの日誌には、ピラミッドの建造期間も記されている。古代エジプトでは、2年に一度税金を決めるために牛を数えていた。メレルの日誌には13と牛の表記があり、13回牛を数えた後だと読み取ることができるという。つまり、26年目か27年目を示しているのだ。日誌によればこの時、ピラミッドの外側を覆う化粧板を運んでいる。化粧板の運搬は、建造において最後の工程なのでピラミッドは、およそ27年で完成したことになる。

出典:大ピラミッドの建造期間が判明!?巨石の運び方や労働者たちの暮らしまでわかっちゃった!? - 嘘か本当か分からない話 2018-05-07

  • 上のブログ記事ではソースが世界ふしぎ発見!と明記していないが、画像が同番組のものなので、上のネタも同番組のものだと思う。おそらくピエール・タレ氏が紹介したのだろう。

建造期間について、馬場匡浩氏は以下のように書いている。

例えば、クフ王のピラミッドでは1個平均2.5トンのブロックが、研究者によって異なるが、130万、230万または300万個使われたと計算される。仮に230万個としても、クフの在位期間は23年間なので、1年10万個、1日で約300個を積み上げなければ完成しないのだ。だがこの数は、ピラミッド内部が全てブロックで満たされていればの話であり、実際には実際には砂や瓦礫が充填されている箇所も確認されている。しかしそれでもなお、その数は途方も無く、我々の想像をはるかに超える作業で成し遂げられたのだ。

出典:馬場氏/p221-222

研究者によってかなり違う数字が提示されているようだが、ピラミッドが王位に就いた年から造り始めるということに関しては一致しているようだ。

馬場氏はクフ王の生存中に建造が完了したと考えているようだが、「ジェドエフラー - Wikipedia」によれば、完成させたのはクフ王の次代の王(息子)のジェドエフラーが完成させたとしている。そう考えると、「世界ふしぎ発見!」で紹介された説は妥当なような気がする。

ちなみに、カフラー王メンカウラー王の在位期間はそれぞれ、26年、28年。



つづく